日本株市場分析 ― 上げたのは半導体だけで割高感が増した
日経平均は週 +2.93% 上がったが、TOPIXは週 ▲0.91% と下げ、NT倍率(日経平均÷TOPIX)は 16.07 から 16.70 へ跳ねた。上げたのはSUMCO・アドバンテスト・レーザーテックなど半導体の装置・検査・ウエハで、10/2は値下がり 1,306 銘柄の全面安だった。日経平均のPERは約22.7倍と、2026年度の予想利益の22倍を初めて超え、株の上乗せ利回りは 1.32pt まで4週続けて縮んだ。市場体温は中立に据え置く。
結論:指数は最高値圏でも中身は弱く値段は高い
上げたのは一部だけ- 集中 日経平均とTOPIXが逆を向いた日経平均は週 +2.93%、TOPIXは週 ▲0.91%。17業種のうち週間で上がったのは5業種だけ(前週は10業種)で、10/2は値上がり 215/値下がり 1,306 だった。指数を見ると強気、中身を見ると弱気という状態が続いている(確信度:高)。少数銘柄が指数を動かす構図は日経平均の上昇を強気の根拠にできない理由|上げ幅86%は3銘柄でも取り上げた。
- 伝わり方 米Micronの好決算は「メモリの設備投資を受け取る側」に届いた米国ではMicron自身が週 ▲0.68% だったのに、日本ではアドバンテスト +13.62%・SUMCO +15.11%・東京エレクトロン +7.04% と装置・検査・ウエハが買われた。メモリのキオクシアは +3.80% どまりで、4週続けて同じ伝わり方になった(確信度:中〜高)。
- 割高 日経平均の値段が利益の伸びを追い越した日経平均のPERは約22.7倍(推計)で、2026年度の予想利益の22倍(67,518円)を初めて上回った。株の上乗せ利回りは 1.73 → 1.645 → 1.47 → 1.32pt と縮み続けている。日経平均はボリンジャーバンドの +3σ(値動きの統計的な上限の目安)に届き、短期的には過熱している(確信度:中)。前週の見立ては日本株市場分析|買う理由は金利と半導体の2つしかないにまとめている。
弱気に下げない3つの理由
- 1企業の景況感が約8年半ぶりの高さ日銀短観(9月調査)の大企業製造業は +24(前回 +22)。ただし先行きは +21 へ悪化の見込み
- 2信用倍率が 7.30 → 6.17倍 へ低下個人の買いの偏りがさらにほどけた
- 3半導体の業績は上方修正が続いているアドバンテストは通期の営業益を 6,275億円 → 8,460億円 に引き上げ済み
それでも「強気寄り」に上げない3つの理由
- 1上がったのは半導体だけ10/2の日経平均の下げ幅 647円 の約86%は、ソフトバンクグループと東京エレクトロンの2銘柄が作った。指数は少数の銘柄で上下している
- 2日経平均のPERが22倍を超えた2026年度の予想利益をすでに約22.3倍で先取りしている
- 3米10年債は 5.28% と高い日本10年債も約3.09%。日本株の割高感は米国の金利次第で強まりやすい(確信度:中)
主要指標
10/2 終値| 指標 | 10/2 | 週間 |
|---|---|---|
| 日経225 | 68,309.46 ▲0.94% | +2.93% 10/1は +3.30% |
| TOPIX | 4,091.00 ▲0.99% | ▲0.91% |
| NT倍率 | 16.70 | 16.07から 日経優位 |
| グロース250 | 798.23 ▲0.51% | ▲0.29% 800割れ |
| 日本10年債 | 約3.09% | 米10年債 5.28% |
| ドル円 | 157.83円 | +0.41% |
| プライム 売買代金 | 8兆2,978 億円 | 9/29は 7兆3,224億円 |
| 値上がり /値下がり | 215/1,306 | 9/30は 1,127/368 |
| 信用倍率 9/25時点 | 6.17倍 | 7.30から 改善 |
| 日銀短観 大企業製造業 | +24 | 前回 +22 先行き +21 |
9/29は3月期企業の中間配当の権利落ち日で、高配当の業種の週間騰落には1〜2%程度の落ち分が含まれる(確信度:中)。
米Micronの好決算は装置・検査・ウエハに届いた
週間騰落率半導体関連の主な銘柄の週間騰落(9/25比。東京エレクトロンとキオクシアは株式分割を調整済み)。
メモリ会社の株価ではなく、メモリ会社が設備投資で買う側の株価が上がった。同じ週の日経平均は +2.93%、TOPIXは ▲0.91%。上の8銘柄はいずれも日経平均を大きく上回った(確信度:中〜高)。
株の上乗せ利回りは4週続けて縮んだ
益回り − 日本10年債日経平均の益回り(PERの逆数)から日本10年債利回りを引いた差。株を持つ見返りが国債をどれだけ上回るかを示す。
株価の上昇と国債利回りの上昇が、同時に株の見返りを削っている。益回りは約4.41%、日本10年債は約3.09%。米国ではこの差がすでに ▲0.02pt とマイナスに転じており、日本はまだ余裕があるが、縮むペースは速い(確信度:中)。米国で上乗せ利回りが消えかけた経緯は米国株市場分析|金利5%超で株の割安さは尽きたで解説した。
引き上げの条件にしていた「日経平均を2週続けて上回る」を満たした。2週で +20.5% と急に上がったため、押し目で分けて買う前提とする。
- 目標株価
- 自己評価 43,000円(38,000〜45,000円)/コンセンサス 42,953円(+11.2%)
- バリュエーション
- PER(会社予想)42.40倍・PBR 26.82倍・時価総額 28.3兆円
- 直近決算
- Q1 売上 3,675億円(+39.3%)・営業益 1,900億円(+53.3%)。通期営業益を 8,460億円 へ上方修正済み
- 買い方
- 36,000〜38,000円 への押し目で分けて買う
- カタリスト
- 10月下旬のQ2決算・米Teradyneの新テスター発表後の夜間取引 +4.70%
- 最大リスク
- 空売りの買い戻しを含む短期の過熱・汎用DRAM向けでのTeradyneとの競合
10/1に5分割した。10/1は +6.47% と上がり、10/2は反動で ▲3.82% 下げて、日経平均を約243円押し下げた。
- 目標株価
- 自己評価 12,400〜13,600円(据え置き)/コンセンサス 16,308円(+34.8%)
- バリュエーション
- PBR 12.99倍。通期予想を開示していないためPERは出せない
- 直近決算
- Q1 売上 7,323.8億円(+33.3%)・営業益 2,114億円(+46.1%)。上期予想は上方修正済み
- 株価の位置
- 自己評価レンジの下限を下回った
- カタリスト
- 10月下旬のQ2決算・自社株買い 1,500億円・メモリの設備投資
- 最大リスク
- 日米の長期金利・半導体製造装置の需要のピークアウト・対中規制
業績は強く、売る理由はない。ただ3日で約 +16% 上がった直後で、買うには高い。
- 目標株価
- 自己評価 20,000円/コンセンサス 21,749円(+25.9%)
- バリュエーション
- PER(会社予想)30.44倍・PBR 4.54倍・時価総額 約3.3兆円
- 直近決算
- 中間のコア営業益 888億円(+156.5%)。通期は 1,960億円 へ上方修正し、最終利益は8期ぶりの最高益見込み
- HDDとの関係
- 独立系の大手HDメディアメーカー。東芝の増産と結びつけた買いは推定(確信度:低〜中)
- 買う条件
- 15,500〜16,000円 への押し目、またはQ3での再上方修正
- 最大リスク
- 急伸の反動・PBRの割高さ・HDDの思惑の先走り
金曜の米国の材料は月曜に表れる
今週のトピック東京の取引が終わった後に米国で出た材料と、夜間取引(PTS)の反応。
- Teradyneの新テスター
- メモリ向けの「Magnum E2」を発表し、米国で +8.00%。アドバンテストの直接の競合製品(確信度:中)
- 東芝のHDD増産
- 生産能力を2027年度中に倍増。米Seagateは ▲10.21%。東芝は上場していないため、日本の受け皿は部材メーカー
- 部材メーカーの反応
- レゾナック(HDメディア)は 10/2 +8.71%・夜間 +2.43%。TDK(磁気ヘッド)は 10/2 ▲0.06% で反応なし
- ソフトバンクG
- 10/2 ▲5.83% で日経平均を約316円押し下げ。OpenAIへの100億ドルの払い込みを終え、材料が出尽くした
10/5(月)は、Seagate安につられて売られるか、東芝の増産を手がかりに買われるかを確かめる日になる。夜間取引は半導体もソフトバンクグループ(+3.88%)もそろって上向きで、月曜の寄り付きは強く始まりやすい(確信度:中)。
次に確認すべきこと
日付順| 時期 | イベント | 注目点 |
|---|---|---|
| 10/5 | 金曜の米国材料の反映 | TDK・レゾナック(東芝増産かSeagate安か)、アドバンテスト(Teradyneの新テスター) |
| 10/6 | 植田日銀総裁の発言 | 9月の東京都区部CPIはコア 2.7%・コアコア 3.0%。利上げの示唆があるか |
| 10/7 | 米FOMC議事要旨 | 米10年債 5.3% 前後の行方 |
| 10/8 | 小売決算 | セブン&アイなど。内需の強さ |
| 10月中旬 | TSMCの9月売上・Q3決算 | 半導体の上昇が続くかを左右する |
| 10月下旬 | 半導体のQ2決算 | 東京エレクトロン・アドバンテスト・ディスコ・イビデン。会社予想の再上方修正 |
| 随時 | 日経平均 70,000円 | NT倍率と、日本10年債 3.1% 超え(上乗せ利回り 1.3pt 割れ) |