7月、半導体相場が大きく揺れました。米SOX指数は6月の高値から1か月で約20%下げ、弱気相場入りしています。何が起きたのか、そして底はどこか。先日の見立ての続きとして、今わかっていることを整理します。
7月に何が起きたか
まず起きたことを構造で押さえます。米SOX(フィラデルフィア半導体指数:米半導体株の代表指数)は、6月22日の高値14,655から約1か月かけて約20%下落し、弱気相場入りしました。一日で急落したのではなく、数週間かけてじりじりと値を切り下げた下げです。ここが今回の起点だと見ています。
観察として1つ付け加えます。先日は日本半導体の下げをデカップリング(日本固有の非連動)と見立てましたが、今回はむしろ米国主導のグローバルなリスクオフ(世界的な資金の引き上げ)に日本が"再連動"した下げでした。手がかりはドル円162円という円安局面でも下げたことです。円安は本来なら輸出企業に追い風ですから、為替だけでは説明できません。純粋なリスクオフだったと見ています。
※関連記事:半導体デカップリング 業績最強でも日本株が売られる理由
なぜ下げたのか、3点だけ
下げの引き金は3つに絞れます。1つ目は、先ほど触れたSOXの弱気相場入りが投資家心理を冷やしたこと。2つ目は、中国Moonshot AIが高性能なオープンモデルを公開し、いわば「DeepSeekショック2.0」としてAI設備投資への疑念が広がったこと。3つ目は、TSMC・Samsungの好決算が"sell the news"(好材料の出尽くし売り)につながったことです。
大事なのは、企業業績(ファンダ)は無傷だという点です。今回はセンチメント(市場心理)の調整だと見ています。
底打ちはいつか、増産ニュースの二面性
底打ち時期から申し上げます。7月末は日米で相場を動かす材料が集中します。米国はFOMC(米金融政策会合)が7月29日と大型テック決算、日本は日銀会合が7月31日、日経225の入れ替え基準日が重なります。日本側は8月14日のSQ(特別清算指数:先物・オプションの清算価格を決める日)とお盆の薄商いが重なり、二番底を付けやすい地合いです。W字の谷は8月14日前後と見ています。
水準はあくまで目安です。SOXが10,700〜11,400(高値比マイナス22〜27%)まで下ヒゲを付けて反転、確認は6月底の12,206回復時点、日経は60,000〜62,000が下値メドと見ています。
そして増産ニュースには二面性があります。メモリ大手3社の増産(Samsungは50%増、SKハイニックスは1cノードを8〜9倍、MicronはAIデータセンター特化)は、AIメモリ実需が本物だという裏付けです。目先の底を堅くする材料であり、東京エレクトロンなど半導体製造装置(半導体を作る機械)メーカーの追い風でもあります。ただし新設備の量産寄与は2027年です。中国の汎用DRAM/NAND増産と重なれば供給過剰リスクの種になります。「2026年は買い場、2027年は警戒」の二段構えで見ています。
リーマン先輩からひと言
今回の下げで唯一の"本物の弱気"シグナルは、DRAM/NAND(メモリ半導体の代表2種)のスポット価格の下落だと感じています。私はここが崩れなければ今回は調整、つまり押し目の範囲だと見て、この価格を毎日見張っています。
用語集
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| SOX指数 | 米国の半導体株をまとめた代表的な株価指数 |
| リスクオフ | 投資家が世界的に資金を安全資産へ引き上げる動き |
| sell the news | 好材料が出た瞬間に売られ、株価が下がる現象 |
| SQ | 先物・オプションの清算価格が決まる日。値動きが荒れやすい |
| DRAM/NAND | パソコンやスマホに使われる代表的なメモリ半導体2種 |
| 半導体製造装置 | 半導体そのものを作るための機械。東京エレクトロン等が代表 |
本記事は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
