3月19日の日銀の金融政策決定会合後に、植田総裁からマイナス金利の解除が発表されました。要は利上げです。実に17年ぶりの利上げにもかかわらず、今日は円安が進みました。
利上げなのに円安、この動きを解説するため緊急で記事を書きました。
ドル円の動きについて
これが今日3月19日のドル円のチャートです。
これを見ると12:30から急速に上昇し始めていて、15時までほぼ右肩上がりで上昇しました。
日銀植田総裁の会見は15:30からで、ここでマイナス金利の解除が発表されるとドル円は一瞬円高(下方向)に振れたものの、すぐに円安基調(上方向)に戻っています。
利上げなのになぜ円安に?
米国では6月に利下げがあると予想されています。そんな中で日本が利上げをするなら、マネーは金利の高い方に向かうのがセオリーのため、ドル円は円高に向かうはずです。
そうならなかった理由として、メディアでは植田総裁が「緩和的な環境は継続」と発言したから、という論調で説明しようとしていました。
本当にそうなのでしょうか?
日経225の動きに着目すると見えてくるもの
ドル円のチャートに日経225の動きを重ねてみたのが次のチャートです。
ローソク足がドル円チャート、オレンジの線が日経225の動きです。これを見ると後場開始の12:30からどちらも急速に上昇し始めていて、日経225の上昇に吊られるようにドル円が円安に転じているように見えます。この動きは「外国人が日本株を買い、為替ヘッジのため円を売る」行為の現れと読み取れます。
※この辺りは岡崎良介さんの動画で詳しく解説されていますので、ぜひご覧ください。
新NISAで日本人がS&P500やオルカンを買っている裏で、外国人が日本株を買って日経225を押し上げている構図については、今年の1月14日に『コラム 2024年の日本株戦略』でも書いています。
私は今日の後場で同じこと、つまり外国人が日本株を大量に買い支える現象が起きていたと推測しています。
日本マーケットの参加者
今回も誰が日本株を買っているのかを調べました。今日の日経225先物の手口を見ると、やはり外国人が上位を占めているのが確認できます。
黄色セルが外国証券会社で、今回も前回同様に上位2社(ABNアムロとソシエテ)だけで6割を占めています。
推測通り、今日も外国人が日本株を押し上げていました。これが円安の正体と思っています。
1月14日にピックアップした9銘柄のその後
ここからは1月15日の記事『2024年の日本株戦略でピックアップした9銘柄のチャート分析』で注目した外国人が買ってそうな9銘柄についてその後の動きを書いていきます。
要は2か月後の答え合わせです。早速まいりましょう!
◎SUMCO 3436(1月12日:2,283円 ⇒ 3月19日:2,390.5円 +4.7%)
◎富士フィルム 4901(1月12日:9,235円 ⇒ 3月19日:10,140円 +9.8%)
TDK 6762(1月12日:7,068円 ⇒ 3月19日:7,508円 +6.2%)
◎SMC 6273(1月12日:84,350円 ⇒ 3月19日:89,050円 +5.6%)
◎信越化学 4063(1月12日:5,741円 ⇒ 3月19日:6,694円 +16.6%)
オリンパス 7733(1月12日:2,216.5円 ⇒ 3月19日:2,194円 -1.0%)
リクルート 6098(1月12日:6,224円 ⇒ 3月19日:6,535円 +5.0%)
◎NTTデータ 9613(1月12日:2,166.5円 ⇒ 3月19日:2,459.5円 +13.5%)
任天堂 7974(1月12日:8,125円 ⇒ 3月19日:8,358円 +2.9%)
※注:◎はリーマン先輩の推し銘柄
ということで、2か月ちょっとでの成績は8勝1敗でした。ちなみにこの期間日経225はというと、
日経225 (1月12日:35,577円 ⇒ 3月19日:40,004円 +12.4%)
日経225に対して9銘柄は2勝7敗、推し5銘柄で2勝3敗、ズコーという感じですね。
ちなみに日経225の寄与度No.1ファーストリテイリングはというと
ファストリ 9983(1月12日:38,940円 ⇒ 3月19日:45,580円 +17.0%)
さすが王者の貫禄ですが、1単元あたり390万円ないと買えないなんて高嶺の花すぎます。
リーマン先輩のひとりごと
本日3月19日だけを見ると、実はファストリが1.1%値下がりした一方、上記9銘柄はTDKを除いて値上がりしていました。本日も外国人に買われた形跡がありますし、今日の様子を見る限り引き続き外国人の日本株の評価は高いです。まだまだ日本株高、円安の傾向は続くと見てよいでしょう。
何より日銀・植田総裁の手腕が見事です。これほどうまいとは思ってませんでした。今後の手綱さばきもぜひ期待したいところです。
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