SpaceX IPO完全解説:$1.77兆企業の買い方と4つのリスク

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SBI証券の申込期限は6月11日(明日)、楽天証券は6月12日朝6時です。SpaceXが6月12日にナスダックへ上場します。この記事では、SpaceXという会社の実態・日本からの申込手順・申込前に確認しておきたいリスクを整理します。


SpaceXとはどんな会社か:「宇宙×通信×AI」三本柱

結論から言うと、SpaceXは「衛星インターネット事業が稼ぎ頭の、宇宙・通信・AI複合企業」です。

ロケット打ち上げのイメージが強い会社ですが、2025年の売上構造を見ると実態はやや異なります。

セグメント 売上 構成比 損益
通信(Starlink) $114億 61% +$44億(黒字)
宇宙(ロケット打ち上げ) $40億 21% ▲$6.6億(赤字)
AI(Grok・xAI統合) $32億 17% ▲$63.5億(赤字)
合計 $187億 100% ▲$49億(赤字)

Starlink(スターリンク:低軌道衛星を使った宇宙インターネットサービス)が売上の61%を占め、セグメント単体では$44億の黒字を出しています。一方でロケット打ち上げ事業とAI事業は現時点で赤字であり、会社全体としての2025年営業損益はマイナスです。

AI部門が赤字である背景には、2026年2月に完了したxAI(イーロン・マスク氏が設立したAI企業。チャットAI「Grok」を開発)との合併があります。xAI・SNSプラットフォーム「X」はSpaceXのAI部門として統合されており、その先行投資コストが重くのしかかっています。

「宇宙企業が通信で稼ぎ、AIを育てている」という構造です。


史上最大のIPO:$750億調達とナスダック100自動採用

SpaceX IPOが市場全体・半導体株・ビッグテックに与える構造的影響については、AI IPOが決める2026年秋の地殻変動で詳しく解説しています。

今回のIPOで、SpaceXは史上最大となる$750億(約11兆6,000億円)の資金調達を予定しています。

時価総額は$1.77兆(約260兆円)です。トヨタ自動車の時価総額が約50兆円規模なので、その約5倍に相当します。機関投資家(大手運用会社や年金基金など、大口の投資家)からの需要は調達目標額の2倍超となる$1,500億超。大型IPOとしては決して高い水準ではなく、抽選は当たりやすい反面、上場初日に$135を大幅に上回る初値は見込みにくい状況です。さらにMorningstarは適正価値を$7,800億(公募価格比▲55%)と試算しており、目先は$135を下回るシナリオも十分あり得ます。

バリュエーションの詳細な論点については、SpaceXのバリュエーション1.77兆ドルは妥当か:3つの論点で解説しています。

公募価格は$135/株で確定しています。

ナスダック100への自動採用という点も見逃せません。

ナスダック100(米国を代表するテクノロジー100銘柄で構成される株価指数)は通常の採用審査を経ずに、上場後15営業日目(7月6日ごろ)にSpaceXを自動採用するルールが適用される見通しです。採用されると、QQQ(ナスダック100に連動するETF)やeMAXIS Slim 全米株式(オール・カントリー)などのインデックスファンドが機械的にSpaceX株を買い入れるため、$220〜270億規模の強制買いが見込まれています。

つまり、インデックスファンドを積立購入している方は、SpaceXを直接申し込まなくても、7月以降は間接的に保有することになる可能性があります。


日本人の買い方:3社の申込情報と手順

証券会社別の比較

証券会社 申込期限 決済通貨 NISA成長投資枠 備考
SBI証券 6月11日(明日) 米ドル 対象 外国株口座の開設が必要
楽天証券 6月12日 朝6時 対象 抽選方式
みずほ証券 コール(電話)対応 要確認 要確認 引受幹事(日本側窓口)

最低申込額は1株単位で$135(約2万1,500円)です。NISA成長投資枠(年間240万円まで非課税で投資できる枠)の対象となっているため、NISA口座をお持ちの方は枠内での申込も検討の対象に入ります。

申込の基本ステップ(SBI証券の場合)

  1. 証券口座の開設:SBI証券の国内口座を持っていない場合は口座開設から必要
  2. 外国株口座の開設:国内口座に加えて「外国株式取引口座」の開設手続きが必要
  3. IPO申込:外国株口座開設完了後、IPO申込ページから申込

ただし、今から口座開設を始めても申込期限(6月11日)には間に合わない可能性が高いです。既存口座をお持ちの方でも外国株口座の開設には数営業日かかるケースがあります。楽天証券も同様で、既存ユーザーでなければ期限内の申込は困難です。

また、IPO申込はあくまで抽選です。申込が通っても必ず購入できるわけではありません。


投資前に知っておきたい4つのリスク

断定はできませんが、以下の4点は申込前に把握しておくべき事実です。

1. マスク集中リスク

IPO後もイーロン・マスク氏が議決権の82%超を保持します。事実上、一人の人物が経営のすべての意思決定を行える構造です。マスク氏個人の判断・言動・政治活動が株価に直接影響を与えるリスクがあります。

2. xAI統合による赤字拡大

2026年2月のxAI合併完了後、2025年の連結営業損益はマイナス$49億となりました。合併前はプラス$80億の黒字だったため、AI部門の先行投資が会社全体の収益を大きく圧迫しています。AI事業がいつ黒字化するかは現時点では不明です。

3. Starlink ARPU(ユーザー1人当たり売上)の低下

StarlinkのARPU(エーアールピーユー:Average Revenue Per Unit。ユーザー1人あたりの平均売上)は$99から$66へ、約33%低下しています。加入者数の拡大と引き換えに、単価が下がっているという構造的な課題があります。

4. 割高なバリュエーション

投資調査会社Morningstarは、SpaceXの適正価値を$7,800億と試算しており、公募価格$1.77兆に対して約55%割高との見方を示しています。PSR(株価売上高倍率:Price to Sales Ratio)は約95倍です。


リーマン先輩からひと言

Starlinkが$44億の利益を生み出している一方で、xAI統合で会社全体は赤字という「二面性」が今のSpaceXの実像です。夢のある宇宙企業というイメージで飛びつく前に、この数字だけは頭に入れておきたいところです。申込期限が迫る中でも、焦って動くより、4つのリスクと自分のリスク許容度を照らし合わせてから判断することが大切です。7月以降、ナスダック100経由でどう値動きするかが気になるところです。


用語集

用語 説明
IPO Initial Public Offering(新規株式公開)。非上場企業が株式市場に初めて上場すること
公募価格 IPO時に設定される1株あたりの購入価格。今回は$135/株
Nasdaq 100 米国ナスダック市場に上場する時価総額上位100銘柄で構成される株価指数。QQQなどのETFが連動している
ARPU Average Revenue Per Unit。ユーザー1人あたりの平均売上。サービスの単価動向を測る指標
PSR 株価売上高倍率(Price to Sales Ratio)。株価が売上高の何倍かを示す。数値が高いほど期待先行の割高な状態を意味する
NISA成長投資枠 NISA口座内で年間240万円まで投資信託・個別株などを非課税で運用できる枠
プロキシ売り IPOで株式を取得できなかった投資家が、代替として関連銘柄を売ることで資金を確保する動き

本記事は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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