日本株市場分析|日経平均の急落を全面安と読まない

日本株市場分析 / at a glance Layer 1 → 3 の3層構造 基準日 2026-10-16

日本株市場分析 ― 日経平均の急落を全面安と読まない

日経平均は週 ▲5.37% の 65,324円で、10/15の 3,318円安は過去3番目の下げ幅だった。だがTOPIXは週 ▲0.95% にとどまり、10/15の下げの約65%はアドバンテスト・東京エレクトロン・ソフトバンクグループの3銘柄で生じた。医薬品・自動車・不動産は週4〜6%上げており、起きたのは市場全体の崩れではなく、AI半導体に集中していた資金の巻き戻しである。ただし日経VIは30超が続き、夜間の先物は週明けの続落を示しているため、市場体温は中立から弱気寄りへ引き下げる。

市場体温
中立(弱気寄り)
前回10/10の中立から引き下げ。米国のインフレ再加速とAIの借金への不安が新たな逆風
日経平均(週間)
▲5.37%
65,324円。10/15は 3,318円安で過去3番目の下げ幅
TOPIX(週間)
▲0.95%
日経平均との差は 4.42pt。NT倍率は 16.82 → 16.07 に急低下
日経VI(値動きの不安の大きさ)
32.17
4日中3日で30超。10/15には 36.13

結論:AI半導体に集まっていた資金が抜けた

集中の巻き戻し
  1. 集中 日経平均だけが大きく下げた10/15は日経平均が ▲4.90% 下げたが、下げの約65%はアドバンテスト・東京エレクトロン・ソフトバンクグループの3銘柄によるもので、アドバンテスト1銘柄で約1,303円を押し下げた。値がさの半導体株の比重が大きい日経平均ほど下げ、TOPIXは週 ▲0.95% にとどまった。指数が少数の銘柄に左右される構図は日経平均の上昇を強気の根拠にできない理由|上げ幅86%は3銘柄でも取り上げた。
  2. 選別の崩れ 前週は売られなかった装置株も一斉に売られた前週は設備投資を受け取る装置・テスタが強く、投資の出し手やメモリが弱かった。今週はその区別がなくなり、KOKUSAI ▲21.37%・SCREEN ▲16.50%・東京エレクトロン ▲14.58% と装置株も大きく下げた。TSMCが純利益 +68.7% の好決算を出した後でも売られた(確信度:中〜高)。前週の選別は日本株市場分析|AI関連はもう一括りに買えないにまとめた。
  3. 米国から 米国の物価と借金への不安がそのまま伝わった米9月の消費者物価は 3.7% と予想を上回り、AIクラウド企業CoreWeaveの社債が急落した。米半導体指数SOXは週 ▲11.41%。米国で「ハイテクが最弱、守りの業種が最強」となった型が日本にも来た。中国CXMTの次世代DRAM報道でメモリ株も売られた。

先週の見立ての答え合わせ

  • ○アドバンテストを買いから中立へ下げた:週 ▲17.02%当たり。買いから外したことで下落を避けた。ただし売りまでは読めていない
  • △ソフトバンクグループ・村田製作所を中立とした:週 ▲14.80%・▲13.43%買いにしなかった点は正しいが、日経平均を8〜9pt下回る下げの大きさは読めなかった
  • ×TSMCの好決算で装置株の売られにくさが続くか続かなかった。好決算でも装置株は週 ▲14〜21% 下げた
  • △食品・医薬品が2週続けて上位に入るか半分だけ。医薬品は首位に立ったが、前週首位の食品は8位に下がった
  • ○日銀の植田総裁の挨拶で利上げ継続の姿勢が変わるか「物価が2%を超えて上振れるリスク」に触れ、利上げを続ける姿勢を一段強めた。10月の利上げを明示する言葉はない

弱気まで下げない理由

  • 1TOPIXは週 ▲0.95% にとどまった業種別ETFでは医薬品・自動車・不動産・小売・商社・保険が上げた
  • 2値上がり銘柄が多い日が4日中2日あった10/16は値上がり 1,292/値下がり 228 で、プライムの8割超が上げた
  • 3割高さは和らいだ日経平均は26年度予想利益の約21.3倍(前回22.5倍)。株の上乗せ利回りも約1.69ptへ広がった

中立に置けない理由

  • 1日経VIの30超が定着した指数が1日で数千円動く状態が続いている
  • 2新しい逆風が2つ加わった米国のインフレ再加速と、AIの設備投資を支える借金への不安
  • 3夜間の先物は 63,630円金曜終値より 1,890円低く、週明けも下げて始まる可能性が高い(報道値)

主要指標

10/16 終値
指標10/16週間
日経平均65,324.29▲5.37%
TOPIX4,066.00▲0.95%
グロース250779.18▲3.40%
NT倍率16.07前週 16.82
日経VI32.17前週 30.14
ドル円157.99前週 158.31
日本10年債2.930%▲8bp
米10年債5.10%▲14bp
信用倍率8.80倍前週 8.69倍

プライムの売買代金は10/16に 7兆6,686億円。日本の10年債は 3.01% から 2.93% に下がり、金利の逆風はやや和らいだ。信用買いの評価損益率は ▲6.58% で、買い方の損が膨らんでいる。

医薬品と自動車が上位、鉄鋼・非鉄と電機が下位

業種別ETF 週間

TOPIX-17業種別ETFの週間騰落(10/9比)の上位と下位。中央の縦線がゼロ。

半導体は装置もメモリもまとめて売られた

週間騰落率

AI半導体に関わる主な銘柄の週間騰落(10/9比)。右端の縦線がゼロ。

4日間の値動き

10/12は休場
指数が大きく下げた日でも、値上がり銘柄が多い日があった。下げは一部の銘柄に集中していた。
日付日経平均前日比値上がり/値下がり主な材料
10/13(火)67,777.52▲1.82%1,140/380中国CXMTの次世代DRAM報道で米メモリ株安、キオクシア ▲13.28%。指数は下げたが値上がり銘柄が多かった
10/14(水)67,744.29▲0.05%604/892ASML決算
10/15(木)64,425.95▲4.90%564/948米CPIの上振れ・CoreWeave社債の急落・米SOX ▲4.30%。下げ幅は過去3番目。アドバンテスト1銘柄で約1,303円の押し下げ
10/16(金)65,324.29+1.39%1,292/2287営業日ぶりに反発。プライムの8割超が上げ、グロース250は +2.99%
6857アドバンテスト 34,530円
中立 → 買い 確信度 低 週 ▲17.02%

前週に置いた「38,000円付近まで下がれば買い」の条件を満たした。TSMC・ASMLの決算で需要の強さは確認できた。ただし週明けも続落が濃厚なため、10/28の決算まで分けて買う前提とする。

目標株価
自己評価 38,000円(+10.0%)(43,000円から引き下げ)/コンセンサス 43,413円(+25.7%)
バリュエーション
会社予想PER 37.90倍。3カ月の幅(約35〜46倍)の中ほどまで下がった
直近決算
Q1 売上 3,675億円(+39.3%)・営業利益率 51.7%。通期営業益は 8,460億円 へ上方修正済み
カタリスト
10/28 Q2決算での再上方修正・TSMCの設備投資 600〜640億ドル維持
最大リスク
週明けの続落・AIの借金への不安が大手IT企業の設備投資に及ぶこと
285AキオクシアHD 13,375円
中立 据え置き 確信度 低 週 ▲23.59%

年換算のPERは約4.3倍と低いが、割安ではなく市場がメモリ価格の天井を先に織り込んでいると判断する。会社の見通しは2四半期続けて市場予想に届いていない。

目標株価
自己評価 13,000円(引き下げ)。コンセンサス 38,870円は株価の約2.9倍で判断に使わない
高値からの下落
6/22の年初来高値(分割後換算 37,567円)から ▲64.4%
直近決算
Q1 売上収益 1兆7,671億円(+415.5%)・営業利益 1兆2,700億円
カタリスト
10/30 Q2決算・最大8,000億円の自社株買い(10/30まで)
最大リスク
メモリ価格の天井・自社株買いの期限後に下支えがなくなること
7203トヨタ自動車 3,094円
中立 確信度 中 週 +6.30%

半導体から抜けた資金の受け皿として買われたが、業績は減益の局面にある。PERは11.65倍と低く配当利回りも高いが、原油高と円高が重しになる。今回が初めての分析。

目標株価
自己評価 3,300円(+6.7%)/コンセンサス 3,624円(+17.1%)
バリュエーション
会社予想PER 11.65倍・PBR 0.98倍・配当利回り 3.23%
業績
通期営業利益 3兆4,000億円 へ上方修正したが、前期比では約1割の減益。想定為替は1ドル160円
カタリスト
半導体からの資金の移動・11月上旬のQ2決算・中国の一汽・広汽との新たな提携
最大リスク
原油高と中東情勢・想定より円高・米国の関税

米国からの波及

同日の米国株分析と突き合わせ

今週の日本株の下げは、米国で起きた3つの出来事がそれぞれ別の銘柄に伝わった結果である。

物価の再加速
米9月の消費者物価 3.7%・生産者物価 6.3%。翌10/15に日経平均は過去3番目の下げ幅。米10年債は下がったが株も下がった
AIの借金への不安
CoreWeaveの倒産に備える保険料が過去最高。日本ではAI投資の出し手(ソフトバンクグループ)とAI向け部材(イビデン・フジクラ)、値動きの大きいテスタ(アドバンテスト)に集中した
メモリ株の急落
Micron 週 ▲14.59% と中国CXMTの報道。キオクシアは週 ▲23.59%
好決算でも下落
TSMC・ASMLの好決算でも半導体は売られた。米国でも予想を上回った企業の株価は平均 ▲0.2% と、同じ構図

米国の半導体指数SOXは高値から ▲23.9% と下落相場の目安を超えた。日本の半導体株の戻りは、米国の借金への不安が和らぐかどうかに左右される(推測・確信度:中)。業績が強くても日本の半導体株が売られる仕組みは半導体デカップリング 業績最強でも日本株が売られる理由で解説した。

次に確認すべきこと

日付順
時期イベント注目点
10/19週明けの寄り付き夜間の先物 63,630円。65,000円を保てるか
10/20信用残(10/16申込分)急落で信用買いの整理が進んだか
10/21Meta・Tesla 決算Metaの設備投資計画。AI半導体の戻りを左右する
10月下旬9月全国CPI・日銀会合・FOMC日米とも利上げを続けるか
10/28アドバンテスト Q2決算通期見通しの再上方修正
10/30キオクシア・村田製作所・SCREEN Q2決算キオクシアは自社株買いの期限
11月上旬トヨタ・ソフトバンクグループ Q2決算トヨタは原油高と円高の影響
継続日経VIと業種別ETFの順位医薬品・食品が2週続けて上位なら守りへの移動と判断

出所:Yahoo!ファイナンス・Google Finance(指数・個別銘柄・業種別ETFの終値)/日本経済新聞・株探(寄与度・売買代金・夜間先物)/日経平均プロフィル・nikkei225jp(日経VI・PER・信用残)/日本銀行(総裁挨拶)/FactSet Earnings Insight 2026-10-16 号/各社決算資料・アナリストコンセンサス・報道。株価と騰落率は 2026-10-16 東京終値。

本ページは投資判断の材料であり、投資勧誘ではありません。判定と目標株価には推定が含まれ、確信度を併記しています。

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