金曜日の米国市場では、同じ「AI関連株」でもMicrosoft(マイクロソフト)が+5.45%と大きく上昇する一方、NVIDIA(エヌビディア)は-1.45%と下落する場面がありました。「AI株を持っていれば安心」という考え方を一度見直すきっかけになる動きです。今日の記事では、その明暗が分かれた理由を初心者の方にもわかりやすく解説します。
マーケットで何が起きた?まずは結論から
結論から言うと、金曜日の米国市場は「AI銘柄が全部上がった日」ではなく、「AI銘柄の中で選別が進んだ日」でした。
S&P500(米国を代表する500社の株価指数)は7,580ポイントと最高値圏で推移し、Nasdaq(ナスダック:テック企業が多く上場する米国株式市場)も30,333ポイントと高水準を維持しました。VIX(市場の不安度を示す指数。数字が高いほど投資家が将来の値動きを不安視しているサイン)は15.42と低い水準にあり、市場全体は落ち着いた状態です。
ただし、その「落ち着いた市場」の中で、AI関連銘柄の間には明確な格差が生まれていました。良いニュースがあった銘柄は大きく買われ、懸念材料が出た銘柄は売られる。市場が成熟してきた証拠とも言えます。
AI・半導体セクターの動き
Microsoft(MSFT)が+5.45%と急騰した理由
Microsoft(マイクロソフト)の株価は$450.24、前日比+5.45%と大きく上昇しました。背景には主に3つの材料があります。
1つ目は、AI機能「Copilot(コパイロット)」の利用ライセンス数が2,000万を突破したこと。企業向けのAIアシスタント需要が数字として証明されました。
2つ目は、AIビジネスの年率換算売上が$370億(約5兆2,000億円)に達したこと。「AIで本当に稼げているのか?」という疑問に対し、具体的な数字で答えた形です。
3つ目は、米著名投資家ビル・アックマン氏がMicrosoft株への新規投資を明らかにしたこと。投資家として信頼度が高い人物の参入は、株価の追い風になりました。
NVIDIA(NVDA)が-1.45%と下落した理由
一方、NVIDIA(エヌビディア)は$211.14、前日比-1.45%と小幅に下落しました。
注目されたのはBroadcom(ブロードコム)がAI企業Anthropic(アンソロピック)向けにカスタムASIC(特定用途向けに設計された半導体。汎用品ではなく、特定の処理に特化して効率が高い)を$360億規模で供給する契約を結んだという報道です。
NVIDIAのGPU(画像処理半導体)は汎用性が高く、AI開発の主力部品として使われてきました。しかしBroadcomのASICのように「特定のAIモデル専用に作られた半導体」の存在感が増してくると、将来的にNVIDIA製品の需要が一部代替されるのではないかという懸念が生まれます。これが株価の重荷になりました。
「同じAIセクター」でも、Microsoftは「AIで稼いでいる実績を示した」、NVIDIAは「競合の台頭リスクが意識された」という構図です。
市場全体との連動を見てみよう
SOX指数はほぼ横ばいで推移しました。これは「半導体セクター全体を押し上げる強いニュースはなく、個別銘柄の材料次第で動いた」ことを意味します。
また、米10年債利回り(米国政府が発行する10年国債の金利。高くなるとグロース株が売られやすくなる)が4.453%と4.5%を下回る水準まで低下したことは、テクノロジー株にとって追い風になりました。金利が下がると、将来の成長に期待するグロース株の魅力が相対的に高まるためです。
半導体ファンドを保有している方にとっての影響をひと言で言うと、「ファンド内でMicrosoftとNVIDIAをそれぞれどの程度保有しているかによって、昨日の運用成績が異なった可能性がある」ということです。ご自身が保有するファンドの組み入れ銘柄と比率を一度確認してみましょう。
今日の注目ポイント・見通し
6月3日(水):Broadcom(AVGO)Q2決算発表
今週最大の注目イベントです。BroadcomはAnthropicへのASIC供給で注目を集めており、AI関連売上が$107億(アナリスト予想)に達するかどうかが焦点です。NVIDIAにとっての競合として台頭しつつある企業だけに、決算内容によっては半導体セクター全体に影響が及ぶ可能性があります。
Microsoft Buildカンファレンス(5月31日〜)
Microsoftの開発者向け年次カンファレンスが始まります。自社開発のAIモデル発表やNVIDIAとのAI PC(人工知能処理を搭載したパソコン)連携に関する発表が予想されており、MicrosoftとNVIDIAの関係性にも注目です。
決算発表前後は値動きが大きくなりやすい時期です。特にBroadcomの決算は、SOX指数や半導体ファンドへの影響が読みにくいため、慌てて売買するよりも結果を見届けてから判断するほうが落ち着いて動けます。
リーマン先輩のひとりごと
今日の記事を書きながら、改めて実感したことがあります。「AI株は全部まとめて上がる」という時代は、少しずつ変わりつつあるということです。
一年前であれば「AI関連」というだけで多くの銘柄がまとめて買われる場面が目立ちました。しかし今は、「実際にAIで稼いでいるか」「競合リスクはないか」という視点で個別に評価される動きが増えています。これは市場が成熟してきたサインです。
個別銘柄の選別が難しいと感じる方には、半導体・AI銘柄をまとめて保有できるファンドで幅広く持つ選択肢をおすすめします。個別株で「MSFTかNVDAか」を悩むよりも、両方を含むファンドで市場全体の成長を取りに行くほうが、初心者の方には管理しやすい方法です。
本記事は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。


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