米国株市場分析|半導体の急落を相場全体の崩れと読まない

米国株市場分析 / at a glance Layer 1 → 3 の3層構造 基準日 2026-10-30

米国株市場分析 ― 半導体の急落を相場全体の崩れと読まない

10/30はIntelの見通し未達(▲28.58%)を起点に、半導体指数SOXが1日で ▲7.20%、Nasdaq100も ▲3.46% と急落した。しかし週間で下げた業種はハイテクと通信の2つだけで、残る8業種は上昇し、S&P500は週 ▲0.57% にとどまる。Q3の増益率は +30.2%、Q4の見通しを下方修正した企業の比率は40%と5年平均の60%を大きく下回る。不安はテック株に集中しており、市場体温は中立(弱気寄り)に据え置く。

市場体温
中立(弱気寄り)
前回10/23から据え置き。弱気へ下げる目安にはまだ届かない
半導体指数SOX(1日)
▲7.20%
52週高値比 ▲27.07%。弱気へ下げる目安 10,259 まで残り4.0%
週間で上昇した業種(10業種中)
8業種
下げたのはハイテク ▲2.03%・通信 ▲5.32%だけ
Q4 業績見通しの下方修正企業の比率
40%
5年平均 60% を大きく下回る。上方修正28社のうち21社はIT

結論:問われているのはAIの需要よりも、投資に耐える資金力である

売りはテック株に集中

Intelの売り材料はPC向けの減速で、データセンター向けは +78% と強い。巨大IT 3社も設備投資を実質的に減らしていない。それでも株価が下がるのは、AI需要の有無ではなく、投資が現金を食う速さと回収の時期が問われているからである(確信度:中)。回収を問う流れは米国株市場分析|AI株は投資額でなく回収で選ばれるで整理した。

強気にしないのは、金利の上昇圧力が消えていないからである。FOMCは据え置いたが2名が利上げを主張し、9月のPCE物価は3.6%、原油は $100 を超えたまま。弱気にしないのは、業績が強く、売りの広がりが2業種に限られるからである。

今週の3つの変化

  1. 起点 IntelのQ4見通しが半導体全体の売りを呼んだ売上見通し $15.5B は予想 $17.1B を、EPS $0.25 は予想 $0.43 を下回った。AI向けへの生産の移行でメモリ価格が上がり、PC需要を圧迫している(報道)。SOXは月〜木の +6.85% をほぼ1日で失った。半導体の崩れの始まりは米国株市場分析|指数の小幅安は半導体の崩れを隠すで分析した。
  2. 資金 設備投資を減らさなくても巨大ITは売られたAlphabetは10/29に約 ▲12.6%(報道)。手元に残る現金はAlphabetが ▲$9.1B(Q3)、Amazonが ▲$42.4B(過去12か月)。Microsoftの設備投資 $175B→$170B はGPUの供給遅れによる先送りで、3社とも2027年は増額方向である。
  3. 逆転 増益の主役が巨大ITから残りの企業へ移った巨大IT 7社のQ3増益率は +22.6%(9/30時点 +33.6%)に下がり、残り493社の +32.6% を下回った。実現すればQ4 2022以来。ただしAlphabet・Amazon・Metaは評価損や訴訟費用などの一時要因を含む。

先週の見立ての答え合わせ

  • △巨大IT 3社の設備投資の削減・据え置きを弱気へ下げる条件とした文言上は該当した。理由は供給側で2027年は増額方向のため、需要の後退とは判断せず下げなかった
  • ×NVIDIA 買い:週 ▲3.00%外れ。SOX(▲0.84%)も下回り、同業を上回る流れは4週で止まった。判定は11/17の決算まで維持する
  • ×CoreWeave 売り:週 +1.16%小幅に外れ
  • ×Teradyne 買い:週 ▲11.16%外れ。今週の決算を受けて中立(強気寄り)へ下げた
  • ○Lam Research 中立(強気寄り):週 +3.92%当たり

体温を動かす条件

  • ↓SOXの終値が 10,259 を割る、VIXの終値が25を超える、またはWTI原油 $110 超が定着する弱気へ引き下げる
  • ↓AMD・NVIDIAの決算でデータセンターの見通しが失望を招き、半導体安が連鎖する弱気へ引き下げる
  • ↑SOXが週間プラスに戻り10/30の安値圏を保つ、AMDの決算に株価が上昇で反応する中立へ戻す

主要指標

10/30 終値
指標終値前日比週間
S&P5007,580.07▲1.82%▲0.57%
Nasdaq10028,384.85▲3.46%▲1.98%
SOX
半導体
10,688.80▲7.20%▲0.84%
VIX19.42+12.91%▲0.15%
米10年債4.93%▲6bp▲6bp
米2年債4.56%▲5bp▲13bp
ドル円157.52▲0.08%+0.45%
Gold先物$3,884.90▲3.63%▲3.12%
WTI原油$102.95+0.93%▲0.31%

株が急落しても金は買われず、10年債の利回りも大きくは下がらなかった。10年債と2年債の差は38bpで、4月末の52bpから縮んでいる。FOMCは政策金利3.75〜4.00%を据え置き、Q3のGDPは +3.4% だった。

週間で下げたのはハイテクと通信だけだった

週間騰落率

セクターETFと半導体指数の週間騰落(10/23比)。中央の縦線がゼロ。

1日の急落は半導体に集中し、巨大ITは1%台で済んだ

10/30 前日比

主な半導体と巨大ITの10/30の下落率。右端がゼロで、左へ伸びるほど下げが大きい。

業績予想と株価:増益率の高い業種ほど買われているわけではない

今週の分析の核
今週もっとも買われたヘルスケアは増益率9位、もっとも売られた通信は増益率4位である。業績の数字よりも、資金繰りへの不安と金利への耐性で買う業種が選ばれている(推測・確信度:中)。
セクターQ3増益率内訳を開けると今週の株価整合
エネルギー+146.4%
前週 +136.0%
5週続けて上方修正。原油のQ3平均は前年比 +32%。石油精製・販売は +536%+1.00%増益率は最大でも株価の伸びは下位
IT+67.5%
前週 +65.6%
半導体(+132%)を除くと +27.2%▲2.03%
SOX ▲0.84%
増益率2位でも下落
素材+30.6%金属・鉱業 +56%+2.79%業績と株価がそろって強い
通信+20.5%
前週 +39.8%
AlphabetのEPSが予想 $3.02 に対し $2.12。株式の評価損 $8.7B を含む▲5.32%もっとも売られた
工業+20.4%
前週 +17.6%
Bloom Energy・RTXが上振れ+1.69%—
公共+12.3%—+2.04%守りとして買われた
金融+5.5%
前週 +4.6%
Goldman Sachs・Capital Oneが上振れ+1.09%—
ヘルスケア+5.2%
前週は減益
Eli Lilly・Merck・Bristol Myers Squibbが上振れし増益へ転換+3.12%もっとも買われた
生活必需品+5.1%—+1.31%増益率は下位でも上昇
一般消費財+2.9%—+2.02%増益率は最下位でも上昇
INTCIntel $65.76
中立 → 中立(弱気寄り) 確信度 中 1日 ▲28.58%

PC向けの減速が来年上半期まで続く見通しで、利益率も下がる。データセンター向けは +78% と強いため売りにはしないが、下方修正が一巡するまで買わない。

目標株価
10/30に変更した8社の中央値 $77.5/自己評価 $70(+6.4%)
バリュエーション
2027年度予想PER 31.3倍(予想の下方修正前の可能性あり)
直近決算
Q3 売上 $16.5B・EPS $0.52。Q4見通しは売上 $15.5B(予想 $17.1B)・EPS $0.25(予想 $0.43)
カタリスト
PCの底打ち・サーバー向けCPUの需要
最大リスク
利益予想と目標株価の追加引き下げ
AMDAMD $504.80
中立(弱気寄り) → 中立 確信度 中 1日 ▲10.88%

株価が下がって上値余地は戻ったが、11/3の決算前なので買いには上げない。Intelが示したサーバー需要は追い風、PC減速とメモリ高は逆風で、両面ある。

目標株価
コンセンサス $640.21(+26.8%)(急落前の値)/自己評価 $600 → $560(+10.9%)
バリュエーション
2027年度予想PER 31.7倍
直近決算
Q2 売上 $11.5B(+50%)。Q3見通しは $13.0B±$0.3B
カタリスト
11/3 Q3決算・OpenAI向け1GWの配備開始
最大リスク
決算後の値動き・PC向けへの波及
AMZNAmazon $240.35
買い 維持 確信度 低〜中 1日 ▲1.41%

売上とEPSは小幅に予想を下回ったが、AWSが +39% で上回った。買いの根拠は崩れていない。ただし手元に残る現金の赤字が大きく、目標は下げた。

目標株価
コンセンサス $331.82(+38.1%)/自己評価 $300〜320 → $285(+18.6%)
バリュエーション
2027年度予想PER 22.8倍
直近決算
Q3 売上 $201.94B・EPS $1.89・設備投資 $77.3B。過去12か月のフリーキャッシュフロー ▲$42.4B
カタリスト
AWSの40%超成長・提供能力の拡大
最大リスク
現金流出の長期化・金利上昇局面での連れ安
TERTeradyne $274.37
買い → 中立(強気寄り) 確信度 低 週 ▲11.16%

Q3は予想を上回ったが、売上が4四半期にわたり横ばいで伸びが止まった。Q4のEPS見通しも前期を下回る。売上の伸びが戻るまで買いには戻さない。

目標株価
コンセンサス $424.67(+54.8%)/自己評価 $420 → $330(+20.3%)
バリュエーション
2027年度予想PER 23.1倍
直近決算
Q3 売上 $1,306M・EPS $2.29。Q4見通しは売上 $1,250〜1,350M・EPS $1.95〜2.25
カタリスト
次回決算の2027年Q1見通し・メモリテスターの受注
最大リスク
メモリ投資の先行き・半導体全体の評価倍率の低下

決算は「多くが上回るが、上回り方は縮み続ける」

今週のトピック

S&P500の60%が発表を終えた。予想を上回る企業は多いが、上回った幅は +4.9% → +2.6% → +2.1% → +1.9% と号を追うごとに縮んでいる。

EPSが予想を上回った企業
82%
5年平均 78% を上回る
上回った幅(合計)
+1.9%
5年平均 +7.5%。確定すればQ4 2022以来の低さ
Q3の増益率
+30.2%(前週 29.5%・5年平均 13.3%)。実現すれば3四半期連続で25%超
Q4のEPS予想
$94.79。10月に +1.4% と上方修正された(5年平均は ▲1.1%)。エネルギーの +20.3% が牽引
上振れ企業の株価
発表前後で平均 +1.6%(5年平均 +0.9%)
売上の上振れ
70% で5年平均と同じ
予想PER
18.7倍(5年平均 19.8倍・10年平均 19.1倍。10/29終値基準)

高い増益率はすでに予想に織り込まれている。業績が崩れていなくても、株価を押し上げる驚きは小さくなった(推測・確信度:中)。

次に確認すべきこと

日付順
時期イベント注目点
11/2Apple 決算・ISM製造業メモリ高のコストとiPhone
11/3AMD 決算・米中間選挙Q3見通し $13.0B の達成、PC減速の波及、データセンターの見通し
11/4ISMサービス物価指数
11/610月雇用統計12月の利上げを判断する材料(前回 2.9万人・予想 6.5万人)
11/17NVIDIA 決算データセンターの需要と売上見通し
来週S&P500の140社が決算上回った幅の縮小が止まるか
継続SOXの水準10,259(高値比 ▲30%)を割れば弱気へ
継続VIX・WTI原油VIX 25超、原油 $110 超の定着で弱気へ

出所:Google Finance・Yahoo Finance(指数・個別銘柄・セクターETFの終値)/米財務省(米2年債)/FactSet Earnings Insight 2026-10-30 号(Q3 2026 決算結果・増益率・EPSガイダンス・先行PER)/各社決算資料・アナリストコンセンサス・報道。株価と騰落率は 2026-10-30 米国終値。

本ページは投資判断の材料であり、投資勧誘ではありません。判定と目標株価には推定が含まれ、確信度を併記しています。

マグニフィセント7のロゴと株価チャート|AI・半導体・米国テック株

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
目次