日本株市場分析 ― 売りが半導体の外へ広がり弱気に転じた
日経平均は週 ▲4.03% の 62,693円で、2週で ▲9.18% 下げ、63,000円割れが2日続いた。先週は半導体だけの下げでTOPIXは ▲0.95% にとどまったが、今週は銀行 ▲6.47%・機械 ▲4.84%・鉄鋼・非鉄 ▲7.88% と売りが半導体の外へ広がり、TOPIXも ▲2.46% 下げた。値下がり銘柄が多い日は5日中4日にのぼる。一部の銘柄の巻き戻しとは言えなくなったため、市場体温を弱気寄りから弱気へ引き下げる。
結論:半導体だけの下げから、市場全体の下げへ移った
売りの広がり- 広がり 半導体以外の業種も売られた先週は医薬品・自動車・不動産が上げ、TOPIXは日経平均より4pt以上下げが小さかった。今週は銀行・機械・鉄鋼・非鉄・電機が下げ、TOPIXとの差は約1.6ptに縮んだ。プライム市場の値上がり553・値下がり951(10/23)で、値下がりが多い日が5日中4日あった。半導体に集中していた先週の下げは日本株市場分析|日経平均の急落を全面安と読まないにまとめた。
- 前工程 半導体の最も弱い所が、メモリから前工程の装置に移ったSCREEN ▲15.82%・KOKUSAI ▲14.02%・東京エレクトロン ▲11.03%。米Lam Researchが過去最高の売上でも供給制約で見通しが期待に届かず ▲11.76% と売られ、その影響が日本の前工程の装置に集中した(確信度:中)。
- 金利 金利の低下が、銀行を売らせて不動産を買わせた日本10年債の利回りは 2.93% から 2.80% に下がった。利ざやが縮む銀行は ▲6.47%、借入の多い不動産は +4.19% で17業種の首位。原油高でエネルギー資源も +2.67% 上げた。
先週の見立ての答え合わせ
- ×アドバンテスト 買い:週 ▲6.34%短期では外れ。ただし下げは会社固有の材料によるものではなく、10/23には 30,030円 の手前で切り返した
- ○キオクシア 中立:週 ▲4.64%当たり。買いにしなかったことで下落を避けた
- △トヨタ 中立:週 +0.36%半分当たり。日経平均を4pt以上上回ったが、上値は重かった
- ×週明けに 65,000円 を保てるか保てなかった。10/22には 63,000円 も割り込んだ
弱気の判断が早すぎる可能性
- 110/23は 1,400円超安から 1,230円 戻した日中の安値 61,462円 は、26年度予想利益の20倍にあたる 61,380円 にほぼ届いた
- 2騰落レシオは102で、市場全体はまだ売られすぎではない裏返せば、売られすぎからの反発を期待できる位置でもない
- 3信用買いの評価損益率 ▲10%台は、短期の底の近くで見られやすい確信度:低
主要指標
10/23 終値| 指標 | 10/23 | 週間 |
|---|---|---|
| 日経平均 | 62,693.16 | ▲4.03% |
| TOPIX | 3,965.81 | ▲2.46% |
| グロース250 | 754.60 | ▲3.15% |
| NT倍率 | 15.81 | 前週 16.07 |
| 日経VI | 38.25 | 前週 32.17 |
| ドル円 | 156.82 | 前週 157.99 |
| 日本10年債 | 2.800% | ▲13bp |
| 米10年債 | 4.99% | ▲11bp |
| 信用倍率 | 9.99倍 | 前週 8.80倍 |
プライムの売買代金は10/23に 8兆9,383億円。信用倍率は 9.99倍 に上がり、信用での買いが売りの約10倍に積み上がっている。値下がり局面で信用買いの整理が進めば、下げを大きくする要因になる(推測・確信度:中)。
不動産とエネルギーが上位、鉄鋼・非鉄と銀行が下位
業種別ETF 週間TOPIX-17業種別ETFの週間騰落(10/16比)の上位と下位。中央の縦線がゼロ。
鉄鋼・非鉄は2週続けて最下位。上位は金利低下の恩恵を受ける不動産、原油高のエネルギー資源、守りの医薬品・電力ガス・食品で、守りの業種が上位に入るのは3週目になる。個別ではINPEX +5.18%・東京海上 +2.49% が上げた。
半導体は前工程の装置と素材が最も売られた
週間騰落率AI半導体に関わる主な銘柄と日経平均の週間騰落(10/16比)。右端の縦線がゼロ。
先週最も売られたキオクシア(前週 ▲23.59%)とアドバンテスト(前週 ▲17.02%)は、今週は下げが小さかった。売りの中心は、米Lam Researchの見通しの影響を受けた前工程の装置とウエハー・素材に移った。業績が強くても日本の半導体株が売られる仕組みは半導体デカップリング 業績最強でも日本株が売られる理由で解説した。
米国からの波及:4つの出来事が別々の銘柄に伝わった
同日の米国株分析と突き合わせ| 米国の出来事 | 米国の株価 | 日本で売られた銘柄 | 伝わった理由 |
|---|---|---|---|
| Lam Research 決算 | ▲11.76% 10/22 | SCREEN・KOKUSAI・東京エレクトロン | 売上は過去最高でも、供給制約で次の四半期の見通しが期待に届かなかった。同じ前工程の装置メーカーに直結した |
| Meta 決算 | ▲7.87% 2日間 | ソフトバンクグループ・アドバンテスト | 設備投資が稼ぐ現金を上回り、AI投資の回収への疑いが強まった。AI投資の出し手と、値動きの大きいテスタに及んだ |
| Western Digital 決算 | 下落 | TDK・日東電工 | 予想を上回っても、費用と設備投資の増加で売られた。HDDの部品を納める日本の電子部品に及んだ |
| 米半導体指数SOX | ▲26.4% 52週高値比 | 半導体全般 | 弱気へ下げる目安の ▲30% に近づいている。日本の半導体株の戻りもSOXの下げ止まりが前提になる |
株価純資産倍率は10.15倍と、これまでの記録で最も低い。業績は拡大期にあり中長期の買いは維持するが、10/30の決算でLam Researchと同じく「好決算でも下落」となる可能性がある。
- 目標株価
- 自己評価 11,400円(+20.5%)(12,400〜13,600円から引き下げ)/コンセンサス 16,617円
- バリュエーション
- PBR 10.15倍。景気の波で業績が大きく動く株のため、PBRで評価する
- 直近決算
- Q1 売上 7,323.8億円(+33.3%)・営業利益 2,114億円(+46.1%)
- カタリスト
- 10/30 Q2決算での通期見通しの開示・1,500億円の自社株買い
- 最大リスク
- 好決算でも売られる展開・AI投資の回収不安・対中規制
前回の買いは短期では外れたが、下げは会社固有の材料によるものではない。予想PERは3カ月の幅の下限付近まで下がった。10/28の決算で通期見通しの再上方修正があるかを確かめる。
- 目標株価
- 自己評価 38,000円(+17.5%)(据え置き)/コンセンサス 43,480円
- バリュエーション
- 会社予想PER 35.50倍。3カ月の幅(約35〜46倍)の下限付近
- 直近決算
- Q1 売上 3,675億円(+39.3%)・営業利益 1,900億円(+53.3%)
- カタリスト
- 10/28 Q2決算・10/27 米Teradyne決算
- 最大リスク
- 好決算でも売られる展開(確率は中〜高)・先物主導の売り
Q1は過去最高益で通期の上方修正の余地もあるが、HDD関連の株価水準の切り下げが続いている。年初来高値から ▲39.2% で、理論株価の下値の目安にほぼ届いた。今回が初めての分析。
- 目標株価
- 自己評価 3,000円(+14.3%)/コンセンサス 4,196円
- バリュエーション
- 会社予想PER 22.14倍・PBR 2.17倍
- 直近決算
- Q1 売上 約 7,410億円(+38.3%)・営業利益 約863億円(+53.0%)。売上の過半は小型の電池
- カタリスト
- 10/30 Q2決算での通期の上方修正・米Seagate決算
- 最大リスク
- HDD関連の株価水準の切り下げの継続・円高
割高感は薄れたが、下値の目安はすぐ下にある
バリュエーション日経平均は26年度の予想利益を約20倍で先取りしている。20倍の水準にあたる 61,380円 が当面の下値の目安になる。
- 指数のPER
- 20.76倍(加重平均 16.65倍)
- 10/23の安値
- 61,462円。20倍の水準 61,380円 にほぼ届いて戻した
- 局面
- 金利の上昇が株を押し下げる局面(逆金融相場)の後半。国内企業の業績悪化はまだ確認されていない
- 物価
- 9月の全国コアCPIは +2.1%
今の下げは業績の悪化ではなく、AI関連の株価水準の切り下げと金利の動きによる。決算シーズンで業績の下方修正が広がれば、業績悪化の局面に移ったと判断する(推測・確信度:中)。割高感が強まった時点の分析は日本株市場分析|上げたのは半導体だけで割高感が増したにまとめた。
次に確認すべきこと
日付順| 時期 | イベント | 注目点 |
|---|---|---|
| 10/26 | 週明けの寄り付き | 61,380円(26年度予想利益の20倍)を保てるか |
| 10/27 | 米Teradyne決算・信用残(10/23申込分) | テスタの受注。信用買いの整理が進んだか |
| 10/28 | アドバンテスト Q2決算・FOMC | 通期見通しの再上方修正。好決算で買われるか |
| 10/29〜30 | 日銀会合・展望レポート | 利上げを続ける姿勢が変わるか |
| 10/30 | 東京エレクトロン・TDK・キオクシア・村田製作所・SCREEN Q2決算 | 前工程の装置の見通し。下方修正が広がるか |
| 11月上旬 | トヨタ・ソフトバンクグループ Q2決算 | 原油高と円高の影響・AI投資の評価 |
| 継続 | 日経VIとTOPIXの週間騰落 | VI 40超・TOPIX週 ▲3%超で弱気を確定 |