東京エレクトロン+7%、今日の日本株2つのポイント

今日の日本株市場は、地政学リスクによる下落と半導体セクターの逆行高という、一見矛盾した2つの動きが同時に起きた一日でした。日経225は下落しながら、東京エレクトロンが+6.89%と急騰。「なぜこんな日に半導体だけ上がるの?」という疑問を持った方に向けて、今日の動きを整理します。

目次

今日の日本市場、結論から言うと

結論から言うと、日経225は64,693円(前日比-306円・-0.47%)、TOPIX(東証株価指数)は3,902(-16・-0.41%)と、主要指数はともに下落しました。

後場(午後の取引時間)に入ると下落が加速しました。その主な原因は「中東リスク」です。米軍がイランの軍事施設を攻撃したとのニュースが伝わり、投資家の間に不安感が広がりました。地政学リスク(地理的・政治的な緊張が経済・市場に与える影響)が高まると、投資家は安全を求めてリスク資産(株式など)を売る傾向があります。今日はまさにその動きが出た形です。

「地政学リスクが市場を動かした日でした」というのが、今日の日本市場を一言で表すフレーズです。

国内AI・半導体銘柄の動き

日経全体が下がる中、AI・半導体関連銘柄は別の動きを見せました。ここがポイントです。

東京エレクトロン(8035):47,450円 / +6.89%

今日最大の注目銘柄です。SEAJ(日本半導体製造装置協会:国内の半導体製造装置メーカーの業界団体)が発表した国内装置販売データが好調で、同社の強気な決算見通しが市場に評価されました。半導体を製造するための「装置」を作る会社が東京エレクトロンです。AI需要の拡大で半導体の生産量が増えれば、製造装置の需要も連動して高まります。その流れが数字で裏付けられた形です。

アドバンテスト(6857):21,930円 / +1.74%

HBM(High Bandwidth Memory:AI処理に使う高速・大容量のメモリ)向けのテスト需要が引き続き堅調です。アドバンテストは半導体の動作を確認する「テスター(検査装置)」の大手メーカー。AIチップに欠かせないHBMの需要増加が、テスト工程の拡大につながっています。

ルネサスエレクトロニクス(6723):4,306円 / -3.76%

一方、ルネサスは今日の半導体株上昇の流れに乗れず、-3.76%と下落しました。ルネサスは車載向けや産業機器向けマイコン(マイクロコントローラー:機器の動作を制御する小型コンピューター)を主力とする企業で、AIや先端半導体製造装置とは事業領域が異なります。

ここで初心者の方に覚えておいていただきたいのは、「半導体株がまとめて動くわけではない」という点です。半導体といっても、製造装置・メモリ・車載用マイコンなど、事業の種類はさまざま。今日のように、同じ半導体セクター内でも明暗が分かれることは珍しくありません。

米国市場との関係を読み解こう

ここで少し疑問が浮かぶはずです。「前日の米国SOX指数(フィラデルフィア半導体指数:米国上場の主要半導体企業30社で構成される株価指数)は-1.36%(12,702)と下落していたのに、なぜ東エレは上がったの?」という点です。

通常、SOX指数と東京エレクトロンなど日本の半導体株は連動しやすい傾向があります。ところが今日は逆行しました。

その理由が「国内独自の材料」です。SEAJの販売データや東京エレクトロン自身の決算見通しという、日本市場固有のポジティブな情報が出たことで、米国市場の流れとは別に買いが集まりました。グローバルな指数の動きだけを見ていると、こういった日本国内の材料を見逃してしまうことがあります。

半導体ファンド(SOX指数に連動する投資信託など)を保有している方にとっては、「ファンドの値動きが今日の東エレほど上がらなかった」と感じるケースもあるかもしれません。それは、ファンドがSOX指数という米国の指標に連動しているためです。個別銘柄とインデックスファンドの違いが出やすいのが、まさに今日のような日です。

明日の米国市場の注目ポイント

明日の朝(日本時間)に確認すべき材料を整理します。

FRB高官の講演(Bowman理事・Paulson理事)

FRB(連邦準備制度理事会:米国の中央銀行)の高官が講演を行います。利上げ継続なのか、据え置きなのかというトーンを確認する機会です。金利の方向性は株式市場全体に影響するため、発言内容に注目です。

シカゴPMI(予想:49.5)

PMI(購買担当者指数:企業の購買担当者へのアンケートをもとにした景況感の指数)が発表されます。50を下回ると「景況感が収縮圏(経済活動が縮小傾向にある状態)」と解釈されます。予想の49.5は50割れの水準で、数字が予想より大きく下回ると市場に警戒感が生まれる可能性があります。

Costco・Dell 決算(5月28日引け後)

Costcoは一般消費者の消費動向、Dellは法人向けIT投資の需要を確認する材料になります。特にDellの決算はサーバー・AI関連投資の状況を把握するうえで注目されます。

リーマン先輩のひとりごと

東エレが+7%近く上がった日でも、日経全体は下がっていたんですよね。こういう日こそ、個別銘柄とインデックス(指数)の違いを実感できる気がします。

「日経が下がった=全部下がった」とはならないのが、株式市場の面白いところでもあり、難しいところでもありますよね。ルネサスがマイナスだったように、同じ「半導体」というくくりの中でも、事業の中身によって全然違う動きをします。

半導体ファンドを持っている方は、SOX指数だけじゃなく東エレやアドバンテストの動きも時々チェックしてみると面白いと思いますよ。SOX指数と日本の個別株がずれる日は、「なぜずれたのか」を考えるのが一番の勉強になります。

初心者の方には、まずSOX指数の仕組みを解説したこちらの記事を読んでみることをおすすめします。半導体ファンドの選び方が気になる方は野村半導体関連ファンドの解説記事も参考にしてみてください。

本記事は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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