米国株市場分析|利益が伸びても株価は下がる局面に入った

米国株市場分析 / at a glance Layer 1 → 3 の3層構造 基準日 2026-11-06

米国株市場分析 ― 利益が伸びても株価は下がる局面に入った

S&P500のQ3増益率は +31.4% と前週からさらに加速したが、指数は週 ▲2.68%、半導体指数SOXは ▲12.15% と大きく下げた。下がったのは利益ではなく株価の倍率で、先行PERは 17.7倍と2023年11月以来の低さになった。増益率の高い業種ほど売られており、業績の強さが株価を支えていない。前週に決めた引き下げ条件のうち2つが成立したため、市場体温を弱気へ引き下げる。

市場体温
弱気
中立(弱気寄り)から引き下げ。SOX 10,259割れとVIX 25超が成立
半導体指数SOX(週間)
▲12.15%
高値から ▲35.93%。11/5は1日で ▲12.25%
S&P500の先行PER
17.7倍
5年平均 19.8倍。2023年11月以来の低さ
Q3 増益率(S&P500)
+31.4%
前週 +30.2% から加速。5年平均は13.3%

結論:売られたのは業績ではなく、AIに払ってきた高い倍率である

弱気へ引き下げ

11/5はS&P500が ▲4.36%、SOXが ▲12.25% と急落した。AMDは決算が予想を上回ったのに同日 ▲17.3%(報道)だった。売りのきっかけは業績ではなく、中間選挙で民主党が上下両院を制したことによるAIデータセンター規制への警戒と、AI主力株の利益確定である(報道)。半導体の急落が始まった前週の見方は米国株市場分析|半導体の急落を相場全体の崩れと読まないで示した。

利益が増えているのに株価の倍率が縮むのは、金利が高止まりする局面で起きやすい。10月の雇用は +16.5万人と予想の約3倍で、12/9のFOMCでの利上げ観測を強める。11/6のSOX +4.21% の反発は、底打ちとは判断しない(確信度:中)。

今週の3つの変化

  1. 倍率 先行PERが1週で18.7倍から17.7倍へ下がった9/30以降、株価は ▲3.9%、12か月先の予想利益は +3.1%。ITの先行PERは17.3倍で、25年平均の20.0倍を下回り2020年3月以来の低さになった。
  2. 逆転 増益率の高い業種ほど売られた増益率1位のエネルギー(+149.4%)は週 ▲12.00%、2位のIT(+69.2%)は ▲8.23%。逆に先週最も売られた通信は +4.89% で首位に戻った。エネルギーは原油の週 ▲12.76% に加え、2027年の減益予想を株価が先に織り込み始めた(推測・確信度:中)。
  3. 決算 上回った幅の縮小は止まったが、株価の反応は鈍いEPSが予想を上回った企業は84%、上回った幅は +2.7%(前週 +1.9%)。それでも上回った企業の株価は発表前後で平均 +0.8% と5年平均の +0.9% に届かない。

先週の見立ての答え合わせ

  • ○SOXの終値10,259割れ・VIXの終値25超を弱気へ下げる条件とした2つとも成立した(SOX 9,390.25・VIX 25.64)。規定どおり弱気へ引き下げた
  • ○Amazon 買い:週 +7.88%当たり。S&P500を10.56ポイント上回った
  • ○AMD 中立:週 ▲11.05%妥当。決算前に買いへ上げなかった判断は結果的に正しかった
  • △NVIDIA 買い:週 ▲8.80%下落したので外れ。ただしSOX(▲12.15%)は3.35ポイント上回った
  • ×Teradyne 中立(強気寄り):週 ▲20.47%外れ

体温を動かす条件

  • ↓S&P500の終値が 7,060(高値から ▲10%)を割る、またはSOXが11/5の安値 9,011 を割る弱気をさらに深める
  • ↓12/9のFOMCで利上げに加え、追加の利上げを示唆する弱気をさらに深める
  • ↑SOXが終値で 10,259 を回復して1週間保つ、VIXが20を下回る、またはNVIDIAの決算に株価が上昇で反応する中立(弱気寄り)へ戻す

主要指標

11/6 終値
指標終値前日比週間
S&P5007,376.86+0.31%▲2.68%
Nasdaq10026,989.99+1.35%▲4.91%
SOX
半導体
9,390.25+4.21%▲12.15%
VIX25.64▲9.01%+32.03%
米10年債4.86%+2bp▲7bp
ドル円157.50▲0.54%▲0.19%
Gold先物$4,074.90▲0.94%+4.51%
WTI原油$90.83+0.34%▲12.76%

S&P500の11/5の ▲4.36% は2025年4月以来の大きな下げで、Nasdaq100は高値から ▲13.94% と調整局面に入った(報道)。株安の中で金は週 +4.51% と買われた。原油は中東の停戦期待で $104 台から $90 台へ下がった(報道)。

半導体とエネルギーが売られ、通信が買い戻された

週間騰落率

セクターETFと半導体指数の週間騰落(10/30比)。中央の縦線がゼロ。

予想利益は伸び続け、株価だけが置き去りになった

S&P500

株価と12か月先の予想利益(先行EPS)の変化率。「利益」は先行EPSを指す。中央の縦線がゼロ。

先行PERと増益率の推移(FactSet 各号)

号Q3増益率先行PER上回った幅
10/9+29.6%19.1倍+4.9%
10/16+29.0%19.0倍+2.6%
10/23+29.5%18.7倍+2.1%
10/30+30.2%18.7倍+1.9%
11/6+31.4%17.7倍+2.7%

先行PERは年初の22.0倍から17.7倍まで下がった。年初来の低下は予想利益の伸びによるもので、株価の下落によるものではない。ただし9月末以降は株価そのものが下がり始めており、倍率の縮小が予想利益の伸びを上回った。業績が強くても株が国債の利回りに負ける構図は米国株市場分析|業績は最強でも株は利回りで国債に負けたで取り上げた。

業績予想と株価:増益率の上位ほど売られている

今週の分析の核
増益率1位・2位のエネルギーとITが週間の下落でも1位・2位を占め、増益率が下位の金融・一般消費財は上昇した。利益の高さよりも、利益がこの先も伸び続けるかを疑う売りである(推測・確信度:中)。
セクターQ3増益率内訳を開けると今週の株価整合
エネルギー+149.4%
前週 +146.4%
原油のQ3平均は前年比 +32%。石油精製・販売は +542%▲12.00%増益率1位で下落も最大
IT+69.2%
前週 +67.5%
半導体(+133%)を除くと +29.6%。AppleとSuper Microが上振れ▲8.23%
SOX ▲12.15%
増益率2位で下落も2番目
素材+29.7%金属・鉱業 +56%▲1.50%—
工業+21.7%
前週 +20.4%
RTX・Huntington Ingallsが上振れ▲2.83%—
公共+17.2%AES・WEC Energyが上振れ▲0.69%守りとして買われなかった
通信+14.1%
前週 +20.5%
Charter Communicationsの赤字で下方修正+4.89%増益率は下がったが首位
ヘルスケア+9.3%
前週 +5.2%
Pfizer・Moderna・CVS・Amgenが上振れ▲0.04%上方修正でも横ばい
生活必需品+7.5%—+0.74%—
金融+6.4%
前週 +5.5%
Allstate・Aflacが上振れ+1.15%増益率は下位でも上昇
一般消費財+3.9%Amazonが週 +7.88%+1.91%増益率は最下位でも上昇
NVDANVIDIA $186.64
買い 維持 確信度 低 週 ▲8.80%

予想PERは15.43倍で、これまで記録してきた範囲の下限を割った。規制への警戒で倍率は縮んだが、AMDの強い見通しはAI需要が続くことを示す。11/17の決算まで判定は保つが、確信度は下げた。

目標株価
コンセンサス $327.14(+75.3%)/自己評価 $285 → $255(+36.6%)
直近決算
Q2 FY2027 売上 $96.2B・データセンター $89.0B・粗利益率 75.0%。Q3見通しは $108B
カタリスト
11/17 決算・Vera Rubinの量産
最大リスク
12月の利上げ・データセンター規制
AMDAMD $449.04
中立 据え置き 確信度 中 11/6 +11.04%

決算は予想を上回り、Q4の売上見通しも約$17Bと強い。それでも買いにしないのは、手元に残る現金が前年比 ▲71% と細り、在庫が膨らんでいるためである。粗利益率の見通し55%は製品構成の変化によるものと判断した。

目標株価
コンセンサス $656.24(+46.1%)/自己評価 $560 → $520(+15.8%)
直近決算
Q3 売上 $13.38B(+45%)・データセンター $8.55B(+97%)・EPS $2.09(予想 $1.94)
カタリスト
次世代AI半導体の量産・2027年売上 +80%超の見通し
最大リスク
12月の利上げ・現金の流出と在庫
MCHPMicrochip Technology $58.35
中立 据え置き 確信度 中 11/6 ▲10.02%

7〜9月期の売上は +42.2% と強いが、12月期の見通しは前期比 ▲1%(中央値)で伸びが止まる。一時的な押し上げ要因 $53M がなくなり、供給制約も続く。業績の拡大は後半に入ったとみる。

目標株価
コンセンサス平均 $93.29(+59.9%)/自己評価 $65(+11.4%)
直近決算
売上 $1.622B・粗利益率 66.5%・EPS $0.97
カタリスト
データセンター向け年 $1B・供給制約の解消
最大リスク
業績の山越え・半導体全体の倍率の縮小

決算シーズンは「多くが上回り、株価は反応しない」で終盤へ

今週のトピック

S&P500の88%が発表を終えた。上回った幅は4号続けて縮んだあと、今週は +2.7% へ戻した。それでも株価の反応は平均を下回る。

EPSが予想を上回った企業
84%
5年平均 78% を上回る
上回った幅(合計)
+2.7%
5年平均 +7.5%。確定すればQ4 2022以来の低さ
売上の上振れ
74%(5年平均 70%)。増収率 +14.3% で11業種すべて増収
Q4の見通し
下方修正32社・上方修正43社。下方修正の比率43%(5年平均 60%)
Q4のEPS予想
$94.63(9/30時点 $93.49)
利益率
14.9%。2009年以降で過去2番目の高さ
目標株価
9,306.85(11/5終値比 +26.6%)。ITは +44.1% と最大

アナリストは利益予想も目標株価も下げていない。市場が払う倍率だけが下がっている(推測・確信度:中)。AI株が投資の回収で選別される流れは米国株市場分析|AI株は投資額でなく回収で選ばれるで整理した。

次に確認すべきこと

日付順
時期イベント注目点
11/10米CPI(消費者物価指数)12月の利上げ観測が強まるか
11/12Applied Materials 決算半導体製造装置の受注
11/17NVIDIA 決算Q3見通し $108B の達成と株価の反応
12/9FOMC利上げの有無と追加の示唆(利上げ観測 約70%・報道)
継続SOXの水準10,259の回復で中立(弱気寄り)へ、9,011割れで弱気を深める
継続S&P500・VIX7,060割れで弱気を深める、VIX 20未満で戻す

出所:Google Finance・Yahoo Finance(指数・個別銘柄・セクターETFの終値)/FactSet Earnings Insight 2026-11-06 号(Q3 2026 決算結果・増益率・EPSガイダンス・先行PER)/各社決算資料・アナリストコンセンサス・報道。株価と騰落率は 2026-11-06 米国終値。

本ページは投資判断の材料であり、投資勧誘ではありません。判定と目標株価には推定が含まれ、確信度を併記しています。

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