銘柄分析『ニッセイSOX指数インデックスファンド(米国半導体株)』

先日『ニッセイSOX指数インデックスファンド』について分析のリクエストを頂きました。昨今のAIブームもありnVIDIAやAMDといった半導体企業がよく話題に上ります。先日も楽天から『楽天・SOXインデックス・ファンド』がリリースされ、今たいへん注目されているセクターの1つと思います。

今回はSOX指数の動きを分析し、『ニッセイSOX指数インデックスファンド』のリスクとリターンについて分析したいと思います。

実は私は学生時代に半導体の研究をしていたのと、新卒で勤めた会社が半導体事業を手掛けていたことから、半導体分野には多少の土地勘があります。一時、わが国は半導体分野において辛酸を舐めていたこともあり、最近の半導体セクターの相次ぐニュースはうれしく思って見ています。そんな思い入れのある半導体分野ですので、今回の分析はとても力が入っています。

先に結論ですが、『ニッセイSOX指数インデックスファンド』を始めとするSOX指数連動ファンドはリターンも高いですがその分リスクも高いので、投資する場合はそれなりの覚悟が求められます

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基本情報

まずは『ニッセイSOX指数インデックスファンド』の基本情報です。

✅信託報酬:年0.1815%
✅投資対象:米国株式等に投資しSOX指数の動きに連動する投資成果をめざす
✅構成銘柄数:30(SOX指数)
✅年1回(9月)に銘柄入れ替えを実施
✅決算日:毎年9月20日

構成銘柄の組み入れ比率は次のとおり公表されています。

AMDブロードコムnVIDIAといった話題の企業が多いですね。

そもそもSOX指数とは?

正式名称はフィラデルフィア半導体指数(PHLX SEMICONDUCTOR SECTOR INDEX)といい、米国上場の主要な半導体の設計・製造・流通・販売を行う企業30社で構成されている株価指数です。米国上場であることが条件で、構成銘柄の中には台湾セミコンダクター(TSMC)やオランダ企業のASMLも含まれています。

2023年12月29日時点での構成比率(上位Top10)は次のようになっています。

『ニッセイSOX指数インデックスファンド』の構成比率と若干の差がありますね。

では早速分析に入っていきましょう。

リスクと成長率の分析

今回はSOX指数の10年分のデータを基に分析しました。

結果はリスク・成長率共にいつものグラフの中には納まらず、『FANG+』に近い値となりました。『FANG+』と比較してリスクは高く、成長率はやや低いところに位置しています。

投資効率

投資効率は109と高い結果に。『レバナス』と同程度ということが分かりました。

以上のことから、SOX指数に連動する『ニッセイSOX指数インデックスファンド』はリスクとリターンがともに高く、値動きが激しいため持ち続けるにはストレスが多い投資対象と言えます。それなら投資効率ではるかに勝る『FANG+』でよくないか?と言えなくもないですね。

続いてファンダメンタル分析です。

シリコンサイクルについて

世界の半導体市場は3年から4年のサイクルで好況・不況を繰り返すと言われています。

以下は世界半導体市場の売り上げ(青い線)と前年同期比(赤い線)のグラフです。特に赤い線を見ると好不況の波が定期的に繰り返されていることが分かります

もう一つこのグラフで重要な点は、赤いグラフが2023年初頭に底を打って反転しているところです。ちょうど2023年初頭はChat-GPTを始めとする生成AIブームに火が着いたタイミングです。

シリコンサイクルが上昇に転じてまだ1年しか経っていない点AIブームが後押ししている点を踏まえると、半導体市場はあと1~2年は上昇すると思われます。

SOX指数のサイクルについて

以下はSOX指数の対前年比のグラフとなります。ここでもシリコンサイクルを見ることができ、対前年比マイナス成長が3~4年ごとに訪れています

2023年はAIブームに敏感に反応し大幅に成長していますが、シリコンサイクルの回復1年目のため、ここでもあと1~2年は上昇が期待できます

まとめ

  1. SOX指数に連動する『ニッセイSOX指数インデックスファンド』リターン・リスクがともに高い投資先です。
  2. 3年から4年のサイクル下がるときは大きく下がるため、ストレスに負けて手放したくなることも想定されます。
  3. ただ現時点ではSOX指数が回復途上であり、あと1~2年は上昇が期待できます
  4. ストレスに負けず握りしめ続ける覚悟を持って臨めば必ず報われる、そんな投資先です。

リーマン先輩のひとりごと

半導体はこれまでもこれからも必ず必要となる工業製品です。好不況の波は確かにあり、企業の栄枯盛衰・新陳代謝は必ず起きますが、世界の半導体市場のシリコンサイクルは確実に繰り返され、SOX指数は長期で見たら右肩上がりを続けます。これはグラフでも示されていますし、30年以上半導体市場を見てきた私が肌で感じていることでもあります。

シリコンサイクルがタイミング的に上昇を始めたそのさなか、今まさにAIブームが起きていて、これはハリケーン並みの追い風ですので、今ならまだSOX指数連動銘柄へ投資する好機と思っています

ちなみに私は既に米国と日本の半導体個別株に投資していて、先日も買い増したばかりです。

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