先日『NF日経平均高配当50ETF』について分析したブログ記事も多くの皆さまにお届けできました。ありがとうございました。高配当銘柄の関心の高さを肌で感じます。
今回は1月30日に設定される、こちらも高配当銘柄として話題の『SBI・SPDR・S&P500高配当株式インデックス・ファンド』(以下、SBI・SPDR・S&P500高配当株式)について発売前に勝手に分析して投資対象としての魅力について解説したいと思います。
先に結論ですが、『SBI・SPDR・S&P500高配当株式』は若い人には向きません。毎年4回の配当金を楽しみにする高齢の方向け商品です。
なおこの記事ですが、リクエストを頂いて書くことにしました。皆さまも気になる投資銘柄がありましたら問い合わせページからリクエストしていただけるとうれしいです。
基本情報
✅信託報酬:年0.1338%程度
✅投資対象:SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF(ティッカー:SPYD)
✅構成銘柄数:77(S&P500構成銘柄のうち、配当利回りの上位銘柄で構成)
✅年1回(6月末)に銘柄入れ替えを実施
✅分配金支払い基準日:毎年2月、5月、8月、11月の各20日(年4回)
そもそもSBI・SPDR・S&P500高配当株式ってどんな商品?
『SBI・SPDR・S&P500高配当株式』は米国の超大手資産運用会社ステート・ストリートが運用するETF『SPYD』を通じて米国の高配当株に投資する仕組みです。
『SPYD』の業種別構成比率を見ると、高配当を目指すだけあって金融、不動産、公益事業が全体の60%を占めています。
主な構成銘柄を見るとハードディスクで有名なシーゲート、ご存じIBM、バイオテクノロジー企業のアムジェン、世界2位の通信企業ベライゾンなどが並んでいます。
では早速分析に入っていきましょう。
リスクと成長率の分析
『SPYD』の上場日(2015年10月)からのデータが入手できたので、およそ8年分のデータを基に分析しました。なお配当は再投資する前提で試算しています。
結果は『S&P500』と比較してリスクはかなり高く、成長率は低くなりました。成長率は『米国高配当株式』と同程度ですが、リスクの高さがNASDAQ100に次ぐ高いところに位置しています。
投資妙味が感じられませんね。
投資効率
投資効率も69と低い結果に。同じ高配当の『米国高配当株式』のほうが優秀ということが分かりました。
配当利回り
最後に『SBI・SPDR・S&P500高配当株式』の配当利回りについて『米国高配当株式』と比較してみました。
SBI・SPDR・S&P500高配当株式 | SBI・V・米国高配当株式 | |
配当利回り | 4.91% | 3.14% |
配当利回りだけは何とか『米国高配当株式』に勝っています。
以上のことから、『SBI・SPDR・S&P500高配当株式』は、リターンの割にリスクが高く成長投資には全く向かないが、高配当だけは期待できる投資先、と言っていいと思います。
まとめ
- 『SBI・SPDR・S&P500高配当株式』は意外とリスクが高く成長率が低い投資先です。
- 『SBI・V・米国高配当株式』と比較するとリターンは同程度ですが、リスクは『SBI・SPDR・S&P500高配当株式』が圧倒的に高いレベルです。
- 配当利回りはとても優秀です。逆に表現すると、配当利回りだけがこの銘柄の特徴と言えます。
リーマン先輩のひとりごと
ネットで話題になっているほどにはこの『SBI・SPDR・S&P500高配当株式』の魅力は感じられませんでした。特に若い方向けには全く設計されていない商品ですので、これよりも投資効率の高い商品をおススメします。積立投資のようにコツコツと増やしていく投資スタイルでは選んではダメなタイプです。ご注意ください。
コメント
コメント一覧 (3件)
いつも細かい分析ありがとうございます。
私はETFのSPYDを保有していたので配当重視のSBI・SPDR・S&P500高配当株式が若い人に向かないという指摘はとてもよく理解出来ました。
新NISAの開始に伴いいろいろなファンドがやや乱発気味に生まれ、投資する側も様々な情報で目移りしてしまうので、リーマン先輩の分析は冷静に考える機会をいただけるのでとてもありがたいです。
リーマン先輩へのリクエスト
・ニッセイ SOXインデックスファンド(米国半導体株)
最近の半導体市場の活況で注目しているがリスクやリターンなどよく分からない為
・SBI欧州高配当株式(分配)ファンド
“全世界”や“先進国”ではなく欧州そのものに投資というファンドはあまりなく、利回りの高さにも魅力を感じる為
上記ファンドは若い人や始めたばかりの人には向かない気がしますが、分析候補のひとつに加えていただけたらと存じます。
今後ともよろしくお願い致します。
船久保さま
いつも記事を読んでいただきありがとうございます。
いただいたコメント、たいへん励みになります。
基本的にデータが手に入れば分析はできますのでSOXは大丈夫です。半導体業界に触れつつ銘柄分析できればきっといい記事になるかと思います。
SBI欧州高配当株式(分配)ファンドはアクティブ運用のため、データが入手できるかどうか、だと思います。銘柄構成的に私もとても興味あるファンドなので、一度調べてみたいと思います。
今後とも宜しくお願いいたします。
LehmanSenpai様
ブログの情報参考にしています。私は新NISAの1年前から投資の勉強もかねて特定口座で少額で投資信託を購入し運用していました。(その前は5年ほど少額でFXをやっておりその時の投資関連の書籍を読んで基本的な知識を身に着けていました。)
で本題ですがLehmanSenpai様が様々なデータを取られていますが、そのデータに基づいたおすすめの投資信託の組み合わせと資金配分を教えていただけたら幸いです。私自身も自分なりに情報収集したりロボアドの「ウェルスナビ」のポートフォリオを参考にしていますが、ぜひLehmanSenpai様のご意見も伺いたいです。よろしくお願いします。