銘柄分析『Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)』

毎週Xでレポートしている『全部10万円ずつ買ってみた』では、投資信託15銘柄の値動きや成長率をレポートしているのですが、この6月から銘柄を3つ入れ替えました。新たに加わった銘柄の1つに『Tracers S&P500トップ10インデックス』(以下、S&P500トップ10)があります。このブログの読者でもある方が猛烈に推していることもあり、今回『S&P500トップ10』を分析してみることにしました。

おそらくこの銘柄について関心を持たれている方は『ニッセイSOX指数インデックスファンド』(以下、ニッセイSOX指数)や『iFreeNEXT FANG+インデックス』(以下、FANG+)との比較に興味があるかと思います。この記事ではそのご要望にお応えするべく、いつものチャートでこの3銘柄を比較してみたいと思います。

先に結論ですが、『S&P500トップ10』は『ニッセイSOX指数』よりも低リスクにもかかわらず同程度の成長率を実現しており、投資効率は『FANG+』を上回った成績が期待できるとても優れた投資先であることが分かりました。

来年の新NISAの成長投資枠はもしかしたらこれを軸にPFを組み立てるかもしれません。

基本情報

まずは『S&P500トップ10』の基本情報です。( )カッコ内は『ニッセイSOX指数』です。
✅総コスト:年0.15725%《信託報酬年0.10725%+諸費用年0.05%》(年0.1815%)
✅信託財産留保額:なし(なし)
✅投資対象:S&P500指数の構成銘柄のうち、時価総額上位10社に投資
✅構成銘柄数:12※(30)
 ※ 1社で複数上場している場合や、スピンオフなどの理由から、構成銘柄数が10を超えることがあります。
✅決算日:5月16日(年1回9月、分配なし)

ベンチマークのS&P500トップ10指数の構成銘柄の組み入れ比率は次のとおり公表されています。

『FANG+』や『ニッセイSOX指数』と大きく異なり、バークシャー・ハサウェイやユナイテッドヘルス、ジョンソン&ジョンソンなどテック以外の銘柄が含まれています。

テック系に偏らないのは好感が持てますね。

S&P500指数との比較

S&P500指数とS&P500トップ10指数の推移の比較を過去10年間にわたってグラフ化したのが以下のチャートです。

予想どおり、S&P500トップ10指数がS&P500指数を大きく上回っているのが分かります。

リスクと成長率の分析

『S&P500トップ10』の10年分のデータを基にリスクと成長率を分析しました。

結果ですが、リスクは『SOX指数』よりも大幅に小さな値となりました。『SOX指数』と『S&P500』の中間に位置しています。

一方の成長率は『SOX指数』と同程度、高い位置にいます。

成長率は高くリスクは低め、理想的な投資先に見えます。

投資効率

投資効率は136となり、『FANG+』の132を超えて当ブログ過去最高の結果を叩き出しています。

以上のことから、『S&P500トップ10』はリスクの割に高い成長率を実現していること、また投資効率が過去ここで取り上げたどの銘柄よりも優れていることが分かりました。

ここまで優れた投資効率となった理由はやはり投資先がテック系に偏らず金融やヘルスケアに分散されている点が大きいため、と言えます。

まとめ

  1. 『S&P500トップ10』はリスクの割に成長率が高く、とても優れた投資先となっています。
  2. 構成銘柄にはメガテック系のほかに金融やヘルスケアの企業が含まれており、業種の分散が(ニッセイSOX指数やFANG+よりは)図られています。
  3. 構成比率上位の銘柄は昨今のAIブームのけん引役が網羅されており、AIブームにも乗ることができます。
  4. コスト(年0.15725%)もニッセイSOX指数(年0.1855%)やFANG+(年0.7755%)より低いのは特筆に値します。

リーマン先輩のひとりごと

分析前は正直なところ、『ニッセイSOX指数』と大して違わないだろうと侮ってました。結果はご覧のとおりで、やはり客観的な分析は大切だな、と痛感したところです。

今年の新NISA枠はもうほとんど使ってしまったため、来年はこれを主軸に置いた投資戦略を立ててみたいと心から思っています。

残念なのはTracersならではの諸費用0.05%が乗っかってきている点ですね。これがなければ文句なしの銘柄です。

末筆ではありますが、この銘柄を紹介してくれたにのさま、本当にありがとうございました

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コメント

コメント一覧 (4件)

  • こんにちは。S&P500TOP10が気になりこちらのブログに辿り着き拝見させて頂きました。新NISAが始まりemaxis slim s&p500やニッセイNasdaq100, ニッセイsoxを保有していますがS&P500とNasdaq100の投資成績がそんな変わらないかなと思いつつ、(S&P500が良い場合が多かった)事もありNasdaq100が中途半端な感じがしてNasdaq100を売却してその分をsoxにいれました。しかし最近S&P500TOP10というものが出て自分で色々調べましたがNasdaq100 とパフォーマンスが変わらないという事に。
    投資効率はFANG+ より凄いという事ですがリーマンさん的にはこの事についてのご意見を伺いたいです。
    長々と長文失礼致しました。よろしくお願いします。

    • 大宮さま

      当ブログを読んでいただきありがとうございます。
      ご質問の『S&P500TOP10とNasdaq100 とパフォーマンスが変わらない』ということですが、過去10年のデータを基にした分析ではS&P500TOP10はNASDAQ100を凌駕しています。
      おそらくデータの取得期間で結果がぶれているのかと思われます。データの取得期間は長ければ長い方が分析結果は”堅牢”になります。
      そういった観点でもう一度大宮さんなりの分析をされれば良いかと思います。

      因みにSOXですが、シリコンサイクルを見るとこの先1年は良さげですがその後は試練の時を迎えると思われます。もし仕込むのであれば2年後辺りにタイミングが来ているのでは、と推察しています。

      • リーマン様  
        早期のご返信ありがとうございます。確かにtracers S&P500 TOP10の説明文や過去の成績が掲載されているサイトなどを見てみるとTOP10の方が成績が良かった様に見えます。
        出たばかりの頃は有名なYoutuberさんのTOP10の説明がされているのを見るとNasdaq100 と変わらないと言っていました。
        しかし実際に運用してみるとFANG+ にも匹敵するくらいのパフォーマンスを出しているという人もいました。
        色々な情報があったのでとりあえず少額からですがTOP10を買ってみました。
        そしてリーマンさんに相談なのですがSOXのボラティリティの大きさを今体感しています。笑
        現在マイナス10万くらいです。
        リーマンさんのブログではTOP10の投資効率ではFANG+ 以上という事ですがSOXがある程度含み益が出たらTOP10に乗り換えるというのもありでしょうか?
        半導体は将来的にまだまだ成長するセクターではありますが、やはり特定のセクターだけのSOXは高難度の商品だという事を経験できたのもとても貴重な勉強でした。
        やはりコアで持っているS&P500は非常に優秀な指数だという事も改めてわかりました。

        リーマンさんのご意見を是非お伺いしたいです。
        非常に長々と申し訳ありませんがよろしくお願い致します。

        • 大宮さま

          ニッセイSOXからS&P500 Top10への乗り換えについてですが、もちろん”あり”です。
          ただそのタイミングですが『含み益が出た』頃にはニッセイSOXが面白いように上昇しているはずですので、その時は手放したくなくなっていると思われます(笑)

          仮に私が同じ立場なら、さっさと今乗り換えるか我慢強くホールドするかの2択です。で、選択した方を値動き関係なくコツコツ積み立てます。

          長期投資であればリスクは逓減できますので、成長率が変わらないこの2銘柄のリターンは大差ないでしょう。異なる点はボラティリティからくるストレスの大小です。ストレスを嫌うならS&P500 Top10、気にならないならニッセイSOXをホールド、となるかと思います。

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