最近インド株投資の記事や動画を目にする機会が増えています。『全部10万円ずつ買ってみた』企画でも23年11月から『iFreeNEXTインド株インデックス』を採用し、毎週の値動きとインド株指数(SENSEX)をチェックするようになりました。
そこで今回は特徴の異なるインド株投資信託3銘柄、『iTrustインド株式』『iFreeNEXTインド株インデックス』『SBI・iシェアーズ・インド株式インデックス・ファンド』についていつものようにリスクと成長率、投資効率の分析を進めつつ、インド株投資の魅力に触れていきたいと思います。
先に結論ですが、手数料で選ぶなら『iFreeNEXTインド株インデックス』か『SBI・iシェアーズ・インド株式インデックス・ファンド』、多少のリスクとコストを受け入れてでも高いリターンを期待するなら『iTrustインド株式』、と提案しています。またインドの経済成長や国としての発展は約束されたものがあり、インド株投資をすぐに始めることを推奨しています。
代表的なインド株投資信託3選
今回ここで取り上げるインド株投資信託は手数料と性質の違いで選定した次の3本です。
✅大和-iFreeNEXTインド株インデックス
✅SBI-SBI・iシェアーズ・インド株式インデックス・ファンド (愛称:サクっとインド株式)
✅ピクテ-iTrustインド株式
では基礎情報を比較してみましょう。
iFreeNEXTインド株 | iシェアーズ・インド株式 | iTrustインド株式 | |
ベンチマーク | Nifty50指数 | SENSEX指数 | -(アクティブファンド) |
投資対象 | Nifty50に採用されているインド株式等に投資 | iシェアーズ・コアS&P BSE SENSEXインディアETFに投資 | 中長期的に成長が期待できるインド企業の株式に投資 |
為替ヘッジ | しない | ||
信託報奨 | 0.473% | 0.4638%程度 | 0.9828%程度 |
純資産 | 384億円 | 360億円 | 208億円 |
新NISA | 成長投資枠のみ | 成長投資枠のみ | 成長投資枠/つみたて投資枠 |
『iFreeNEXTインド株インデックス』『SBI・iシェアーズ・インド株式インデックス・ファンド』の信託報酬はインド株投資信託では最安値圏です。『iTrustインド株式』が他2つと性質が大きく異なっていて、最大の特徴はアクティブファンドであることです。それもあって信託報酬は他2つの倍程度と割高な設定となっています。驚きなのは『iTrustインド株式』だけが新NISAのつみたて投資枠に対応しています。
また『SBI・iシェアーズ・インド株式インデックス・ファンド』は香港市場に上場しているETFに投資しています。
ではそれぞれの特徴を知るため、まずはベンチマークされているインドの株価指数について調べてみました。
Nifty50とSENSEXの違いについて
『iFreeNEXTインド株』はNifty50指数、『SBI・iシェアーズ・インド株式』はSENSEX指数をベンチマークしていることから、それぞれの指数について比較しました。
Nifty50は文字通り50社で、SENSEXは30社で構成されています。ではその構成企業はどうなっているでしょうか。一覧にしてみました。
この一覧を整理する過程で、SENSEX指数を構成する30社は全てNifty50に含まれていることが分かりました。
昨年不正疑惑で話題になったアダニ財閥がNifty50には含まれていますが、SENSEXには含まれていないようです。また身近なところでは33番のマルチスズキがスズキ自動車のインド法人で、インド最大の自動車メーカーとして頑張っていますね。
それぞれの組入業種比率は次のとおりとなっています。
比率は若干違いますが、どちらも上位5業種は金融、IT、エネルギー、生活必需品、一般消費財と全く同じでした。
続いて組入上位10銘柄です。
ここでも10社中9社が重複しています。
ちなみに過去10年の両指数の値動きがこちらです。
ほとんど同じ値動きをしていることが分かります。
以上のことから、Nifty50とSENSEXは特徴としての大きな違いはなく、『iFreeNEXTインド株』と『SBI・iシェアーズ・インド株式』のどちらを選んでも取り立てて大きな差はないと言えます。
『iTrustインド株式』の中身について
続いてアクティブファンドの『iTrustインド株式』について見てみましょう。
『iTrustインド株式』は25銘柄で構成されているとのことですが、全構成銘柄の情報は公表されていないようです。
公表されていた組入上位10銘柄は次のとおりでした。
特徴的なのは赤くマーキングした4企業で、上位10社の中で4社がNifty50にもSENSEXにも含まれていませんでした。
次に『iTrustインド株式』で2023年にプラスに寄与した上位5銘柄が公表されていますのでこちらを見てみましょう。
驚くべきことですが、赤いマーキング4社はNifty50にもSENSEXにも含まれていない企業です。『iTrustインド株式』のファンドマネージャーは目利きでとても優秀なのかもしれません。
最後に『iTrustインド株式』の組入業種比率は次のとおりです。
他の2つと異なるのは、エネルギーではなくヘルスケアが構成比の3位に来ている点です。金融とITが上位なのは共通ですね。
それではいつもの分析をしていきます。
リスクと成長率の分析
『iFreeNEXTインド株』と『SBI・iシェアーズ・インド株式』は各指数の10年分のデータを基に、『iTrustインド株式』は設定来の約6年分のデータで分析しました。
結果は『iFreeNEXTインド株』と『SBI・iシェアーズ・インド株式』はリスク・成長率共にほぼ同程度で、S&P500よりリスクは低くリターンは高くなりました。投資対象として優秀なグリーン領域に位置しています。
一方の『iTrustインド株式』は成長率で他の2銘柄を若干上回ったのですが、リスクが格段に高い結果となりました。リスクは『NASDAQ100』よりも高いです。
投資効率
『iFreeNEXTインド株』と『SBI・iシェアーズ・インド株式』の投資効率は120近辺と高い結果になりました。とても優秀な結果です。
一方の『iTrustインド株式』は投資効率91となり、他の二つに大きく差をつけられる結果となりました。とはいえ91なら米国高配当や先進国、オルカンを上回っており決して悪くはないと言えます。
この3つならどれを選ぶ?
以上のことから、手数料で選ぶなら『iFreeNEXTインド株インデックス』『SBI・iシェアーズ・インド株式インデックス・ファンド』、どちらを選んでもとても安定した運用が期待できます。
多少のリスクとコストを受け入れてでも高いリターンを期待したい方には『iTrustインド株式』も悪くはありません。
インドへの投資はあり?なし?
インドに投資する、とはどう言うことでしょうか。それにはインドの現在置かれている状況と将来について語らねばなりません。
インドは世界第1位の人口を背景に高い経済成長率を維持してます。特にポイントなのが、インドは平均年齢が28.2歳と若い労働力が豊富なのと(日本の平均年齢が48.4歳)、2060年台には17億人まで人口は増え続けるとのデータもあり、今後この人口ボーナスは続く見込みです。
さらに最近のトレンドでは、海外製造企業がこぞってインドに投資を進めています。
製造業が発展するとその国の所得水準が上昇するためさらなる経済成長が期待できます。次のグラフはインドと主要国の経済成長率予測ですが、向こう5年間は高い成長率が予測されています。
以上のデータを読み解くと、インドは国として発展する条件が揃っていますので、長期投資の対象としてたいへん優れていると言えます。
まとめ
私は既に『全部10万円ずつ買ってみた』企画や新NISAで『iFreeNEXTインド株インデックス』を買っていますが、この結果を受けて自分の選択は間違ってなかったと再認識しました。過去10年のデータで分析した場合、『S&P500』よりも優秀な投資先であることが分かったのは価値がありました。
下のグラフは各国の株価指数の過去20年にわたる推移ですが、このグラフを見てもその成長率の高さが見て取れます。
リーマン先輩のひとりごと
『iTrustインド株式』も悪くはない、と結論付けましたが、投資効率と0.98%のコストは釣り合っていないと感じます。長期運用で1%に近い信託報酬はやはり割高ですし、それなら『FANG+』並みの投資効率をたたき出してほしいところです。これからのインド経済の成長に合わせてて投資効率が改善されていくのかを注目したいと思います。
肝心のインド株への投資については、これはもう外せないですね。製造業のインド進出、経済成長率予測、人口増加による黄金期の到来、どれをとっても明るい未来しか見えてきません。正直今の日本と較べたらうらやましいです。
私は今回の記事執筆を通じて、今後も新NISAの成長投資枠を使ってインド株投資を続けていこうと決意を新たにしたところです。5年後10年後が本当に楽しみな投資対象です。まだ始めてない方はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
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